親戚のおっちゃんが語るよなイラクの話は、なぜだか自然と耳に入る

更新日:2011/9/12

サマワのいちばん暑い日

ハード : 発売元 : hagiwara Printing co.
ジャンル: 購入元:AppStore
著者名: 価格:700円

※最新の価格はストアでご確認ください。

カメラマンと言えば、独特のしゃべりで人気の渡部陽一氏を思い浮かべるかもしれない。しかし、この方を忘れてはいないだろうか? 自称「不肖・宮嶋」で知られる宮嶋茂樹カメラマン。この方も多くの戦場に出向き、戦争の現状を伝えています。戦場だけではありませんが。
  
私が知ったのは2004年、イラクで襲撃され亡くなった橋田信介さんと甥の小川功太郎さんがイラクで最後に会った人物として週刊文春での記事でした。そんな宮嶋さんの電子書籍ならぜひ読んでみたいと思い、ダウンロード。

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関西出身ということもあり、関西弁まじりでボケとツッコミのある文章は、イラクでの過酷なはずの3ヶ月のルポを、なんだか身近に感じさせるのです。もちろん、信じられないようなことが世界では起こっているし、ニュースでは流れない裏側の出来事などが書かれているのですが、宮嶋氏の文章は現地に行ってきた親戚のおっちゃんが隣で話してくれているような感じの文章(ここは敬意をもって、「親戚のおっちゃん」と呼ばせてください)。
  
例えば、“12年前、ペルシャ湾で私が同乗したあの補給艦「ときわ」である。同時は艦齡1年、ピチピチのギャル艦だったが、今やすっかり薹(とう)の立ったババア船。”とか“エアコンなんぞ、もちろんない。当然、思っくそムシ暑い。これでは「サティワンときわ」である。”などなど。おっちゃんのお土産話を聞いているようです。
  
でも、しっかり伝えている。イラクの戦場を。おっちゃんの話だから戦争による悲劇も聞けるのです。耳を塞ぎ、目をつぶりたくなるような現実も、テレビでは流ない裏側の話も、耳に入ってくるのです。
  
最後はイラクで襲撃され亡くなられた橋田伸介さん小川功太郎さんとの最後の会話から、襲撃の報道が錯綜する中で宮嶋さんが必死に橋田さんと連絡を取ろうと試みたこと。混乱するイラクからの現状を伝えるべくできるかぎりの行動をしたこと。現地に遺体を引き取りに来た橋田さんらの家族に、週刊誌の記事になる前に自分の手と口で橋田さんと小川さんの最後の姿が写った写真を渡し、交わした会話を伝える様子が綴られています。
  
今でも戦争が起きている場所がある。そう「アホ!」と叫びたくなるような現状がいまだにあるんです。そんな親戚のおっちゃん、いや宮嶋氏の叫びが詰まった1冊です。

やはり電子書籍で必須な機能の「目次」と「しおり」は本当に便利です。何冊の電子書籍がたまると、読み返したい時にすぐにページなんて出てきません。私は特に「しおり」を良くつけるので、すぐに読み返せます。できたらもっと増やして欲しいなぁ~

Web検索も可能です。関連事項や知らない出来事などはここからすぐに調べます

文章画面の右上に小さく赤いマークで「画」が出てくるページには写真あり! ですので、是非そのマークをタップしてください。橋田伸介さんとの最後のツーショットも掲載されています