真実の愛に出会うまでヒゲを剃らないと誓うOL笹子の悲哀に満ちた愛の遍歴に爆笑!

コミック

2011/9/4

ヒゲのOL薮内笹子

ハード : PC/iPhone/iPad/WindowsPhone/Android 発売元 : さるやまハゲの助
ジャンル:コミック 購入元:eBookJapan
著者名:しりあがり寿 価格:324円

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実は今回はIT本の真面目レビューをするつもりだったんだけど、ちょっと肩ほぐしのつもりで読み始めたら、あらら、はまっちゃった!
  
ヘタウマ、ナンセンスギャグ漫画を描かせたらビカイチ、しりあがり寿さんの大ヒット作である。少女時代に実の父親に犯されそうになった藪内笹子は、男性不信に陥ったんだか、真実の愛を見つけるまではヒゲを剃らないことを決めた…って、もう、ワケわからないけど。

一見、少女漫画のヒロイン風な容姿に、うっすらと無精髭をはやしてる笹子は、どこか壊れていて幸薄いOL。冒頭の「過去 そして タヌキ」で、読者は笹子の悲しい過去のエピソードを知ることになる。男女の絡む像が爆発する連続爆破事件が発生し、現場にいた笹子は警察に目を付けられるが、うまくかわして、新宿歌舞伎町のバーカウンターで一人酒。その後チンピラに絡まれ、あわやヒゲを剃られそうになる。そこに狸の皮を被った全身毛がボーボーのオッサンが救世主として現れ、助けられるのだが…。
  
どうせ体目当てだと疑った笹子は、「じゃあ聞くわ。ある嵐の夜、船が転ぷくして『愛』と『肉交』がおぼれてしまいました。ところが救命ボートにはあと一人しか乗れません。あなたならどちらを助けますか?」と真顔で詰め寄ると(なんて質問なんだ!)、化け狸は「『愛』…だ。」と答えて、いきなりSEX。なんだかメチャクチャな展開なんだけど、なぜか笹子にちょっとだけ感情移入して、しんみり苦笑しつつ、笹子の愛の遍歴へと誘われたのである。
  
毎回、今度こそ真実の愛かも、と笹子は張り切るのだが、その張り切り方が半端なくコワイ。とことん過剰なヘタウマ絵のタッチと、荒唐無稽なストーリーや、少女コミック風のセリフにプッと吹き出しつつも、不思議なリアリティを感じてちょっとせつなくなる。人間の感情をマイクロスコープで拡大させれば、こんなふうに劇画化するのかも。
  
うん、こういう天然な女性、まわりにいても不思議じゃない!

プロローグのコマ。歌舞伎町のたぶん、行きつけのバーカウンターで、笹子、遠い目。その美しい口元にはヒゲがふさふさと生えている。なんてナンセンスな始まりなんだ!

こちらがレビュー文で紹介した化け狸のオヤジ。まるでハンフリー・ボガードのような立ち振る舞いに、笹子はグッときてんだか。「てってめえ」とチンピラが手にした武器が、ジジジって、電気ヒゲソリなのも笑えた。この後が爆笑の展開に…

「愛は宇宙の果てに」の章の最後。巡り会い、互いに恋に落ちたイケメンは、なんと宇宙飛行士に採用され、スペースシャトルに乗ってしまい、待ち合わせの場所に現れなかった。今度こそヒゲが剃れると思って購入した電気ヒゲソリを川に投げ捨てる笹子。ああ、無残なり笹子!!

後半には、笑える恋愛漫画『ジュリアナ親父』も収録されています。バブル末期に一世を風靡したディスコ「ジュリアナ」で踊り狂うオンナたちの写真もふんだんにコマに使われていて、お懐かしや~! (C)しりあがり寿/さるやまハゲの助