読むほどに、おいしい「ねこまんま」や「味噌汁」が恋しくなってきた

ワイコブ

2011/7/15

自然流「だし」読本

ハード : PC/iPhone/iPad/WindowsPhone/Android 発売元 : 農文協
ジャンル:趣味・実用・カルチャー 購入元:eBookJapan
著者名:船瀬俊介 価格:525円

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表紙のかつおぶしの美しさに惹かれてこの本を購入。
  
「食べたい日本の味」が手に入らない場合、海外に在住しているとそう簡単に買ったり、取り寄せるわけもいかず、その欲求の度合いによってなんでも自分で作るようになってくるものですが、「おいしいだし」もそのひとつ。干ししいたけは自宅でも作れるにしても、かつおぶしはどうやって作るんだろう、という興味もありました。

第一章で、著者はまず私たち現代人の舌に対する警鐘を鳴らしています。「ケーキを苦い」と感じるような味覚異常が近年増加している、と。
  
人工甘味料や化学調味料に慣れてしまった舌は、本来の機能を発揮できなくなってしまうのだそう。映画を見ながら、スナック菓子を始めたらやめられず一袋食べきってしまう、など誰にでも経験があるはず。あの「あとを引くうまみ」が化学調味料のなせる業でもあるのですが、著者は、本当のうまみは日本古来のかつお節や昆布、煮干や干ししいたけに詰まっているのだから、これらを使わない手はないだろう! と主張します。
  
確かに。
  
なによりこうした材料は人体にもやさしいし安全です。
  
第2部の「本物の『だし』賛歌」の中、ことにかつお節の工程を詳細に追った部分には感心。鰹節に含まれるアミノ酸の種類は30種にものぼり、それがあの「おいしいだしを飲んだときの、なんともいわれぬ滋味」を創り出しているのだとか。
  
かつお節の工程は気の遠くなるような忍耐と時間のかかる作業で、原材料のかつおの水洗いと下処理に始まり、「煮熟」「乾燥(培乾法)」「削り」「かびつけ」まで。かつお節は燻製食品であり、発酵食品でもあるとこの本で初めて知りました。かつお節作りの一人前の職人になるには少なくとも5年はかかるとのこと。いまや工場生産が主流ではありますが、著者が丹念に取材した伊豆地方田子のかつお節作りの様子には、「へぇ~~」連続のレポートです。著者が推奨する、自宅で作る「濃縮だし」もレシピがついているので早速試すつもり。
  
食卓の西洋化が進み、それと同時に日本人の味覚も嗜好も大幅に変わってきましたが、どこの土地でも、昔からの味は先人たちの知恵の結晶。なんとか日々の食卓に、昔からの姿で残してゆきたいものです。かいたかつお節での「ねこまんま」…望郷の念を激しく刺激されました(笑)。

「たし算」ならぬ「だし算」、でうまみが倍増してゆくのを先人たちは経験から知っていました

230年前、かつお節の「荒節」製法をあみ出したのは、紀州の与一さん

本当によいかつおぶしは、繰り返し「かびつけ」が行われ、保存するほどによい味になってゆくとか

にぼし、昆布、干ししいたけで作る「自宅濃縮だし」。便利そうです (C)船瀬俊介/農文協