僕の本当の相手は誰? 29歳独身オトコの結婚観を描いたマリッジブルー狂想曲

小説・エッセイ

更新日:2012/3/7

指輪をはめたい

ハード : PC/iPhone/Android 発売元 : 文藝春秋
ジャンル: 購入元:BookLive!
著者名:伊藤たかみ 価格:432円

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この物語は主人公がスケートリンクで転んで頭を打ち、その前後数時間の記憶を失って目覚めるところから始まる。

そんな彼は数時間分の記憶とともに、自分が持っている婚約指輪を誰にあげるつもりだったのかを忘れてしまっていた。お付き合いしてる人間が1人ならば、彼が指輪を渡そうとしていたのは間違いなくその彼女だろう。しかし、なんと彼は三股をしていたのだった…。2011年秋公開、山田孝之主演映画の原作。

三股していて、指輪を渡す相手を忘れてしまった、とはなんて間抜けな話だろう。女の私からしてみれば、三股なんて女の敵もいいとこ、と主人公の彼に敵対心すら感じる。まぁ、そんなことをしてたから天罰が下ったんだろうな、なんてと思いながら読み進めていった。

しかし読み進めていくと、どうやらそんな単純な話ではないらしい。彼はあの日なぜスケートリンクにいたのか、指輪をあげたかった相手は本当に3人の中の1人なのか、物語が進めば進むほど謎が謎を呼び、その渦にのまれていく。そして主人公のバックグラウンド、元彼女の存在、3人の彼女たちのそれぞれの魅力。そんなものが明かされていくにしたがって、最初は敵意すら抱いていた主人公がだんだん可哀想に思えて、応援したくなってくるものだから不思議だ。

続きが気になるのと、電子書籍特有の指1本でページが送れるという手軽さもあり、普通の書籍よりも早く読み進めていくことができた。終盤に差し掛かると、もしかしたらという正解が少しずつ見えてくる。しかしその正解に触れる直前にまた新たな謎が生まれる。

終わりのない謎の連鎖。読み終わったあとも、もう一度読めば何か答えが見つかるのではないか、見落とした伏線があったのではないか、そんな風に思えて何度でも読み返したくなってしまう作品。