今日マチ子が描く、“現代アイドル”の優しくせつない希望の物語

公開日:2015/1/15

5つ数えれば君の夢

ハード : 発売元 : 秋田書店
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著者名:今日マチ子 価格:※ストアでご確認ください

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 「アイドルになりたかったなあ」と真剣に思った時期があった。自分という「存在」が仕事になり必要とされるといったポイントに、何かいてもたってもいられず鼻息荒く部屋を飛び出したいリビドーを感じたのである。

 目立ちたいという欲はやっかいで、超絶無口だった中学時代、運動会の演目で「クラス全員の背中を走って渡り歩く」という大役に、誰かに「やりなよ」と言われたわけでもなく突然立候補して、俺様の意味不明っぷりをとくと見せつけたこともあった(本番ビリだった)。高校の卒業式後のホームルームで「女優になって帰ってきます!」と号泣しながら宣言するというギャグを大勢の前で放ったりと、大爆笑したあと寝込まなければいけない思い出ばかりを作ってきた。

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 『5つ数えれば君の夢』は5人組のアイドル「ファイブスターズ」のメンバーであるアヤノ・ミユ・メイ・ユリ・ヒトミのそれぞれの苦悩や葛藤を、ふんわりと可愛い絵で描いたコミック。アヤノは「夢を見せるためには完璧じゃないといけない」と考える。

 そして、東京行きの新幹線に乗るたびに目を瞑って「自分の夢」を頭に描く。それはアイドルとしての夢ではなく、眠りの中のようなファンタジーの世界。公園で不思議な猫を育てたり、甘酸っぱい時間を共有する男の子と過ごしたり。

 みんなが見たい夢とは? 夢の質感とは? 夢の先に待っているものとは? 彼女はアイドルである自分と、そんな夢を行き来して、自分の未来に進んでいく。それぞれの少女が思い描く、優しくせつなく、希望のある物語。多くのアイドルが目標に向かってひた走るこの時代、そんな彼女たちに想いを馳せるのにぴったりな1冊。


キラキラ輝く少女たち

5人がそれぞれ抱く葛藤

ヒトミがこだわる「白い猫」

「私たちは誰かの夢だから絶対に完璧じゃなきゃいけない」