予想はすべて裏切られる! 孤独な女アレックスの壮絶なる秘密とは
更新日:2015/9/29
久々に読む推理小説は紀伊国屋のウェッブサイトで、しばらくの間、電子書籍文芸のベストセラー第1位に! ピエール・ルメートルの作品は初めてですが、否が応でも期待が高まります。
数ページも読み進めるうちにぐんぐんと物語のスピード感につられて、あっという間にパリの街にいるような気持ちに。主人公のアレックス、登場した時点から何かいわくありげで、ただの看護師ではない雰囲気。美しく若い女性だというのにかつらを選んだり、レストランで本を広げてひとりで食事をとるシーンなど、そこはかとない孤独感が漂う導入部。
いきなり誘拐されることから、読者は彼女を巡る暗黒の世界に引きずり込まれます。誘拐犯の残酷なこと…。血なまぐささ。檻に閉じ込められ、ネズミのエサにならんやという彼女の危機一髪からの脱出劇。ここからが実は本番。彼女の行動を読者はしばらくきょとんと観察するしかありません。いったい誰に味方すればいいのか、不安な気持ちになるところで、いい味を出してくるカミーユ警部。自らも凄惨な過去を持ち、背が低くお世辞でも格好いいとはいえないこの警部が、最後まで頼みの綱でした。
形容しがたいほど本当に酷い人ばかりで、読み始めたら止まりません! 衝撃の結末の舞台演出も精巧で、素晴らしい。残酷なシーンもこれでなんとか消化できそう。
著者は2013年に第一次大戦をテーマにした作品でフランスの最も権威ある文学賞「ゴンクール」を受賞。本作は映画にもなる様子。これまでに発表した作品数は少ないものの、まさにヨーロッパの旬の作家。おすすめです!
普通に魅力的な30代女性に見えます。が…
彼女が突如誘拐されるのが、悪夢の始まり
残酷極まりない誘拐犯
ここから最後まで、ずっと「どうして??」の連続