10年以上経って再評価された糸井重里の“インターネット予言書”

更新日:2015/9/29

インターネット的

ハード : 発売元 : PHP研究所
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 『インターネット的』は、もともと2001年に新書として出版されたものである。1998年に『ほぼ日刊イトイ新聞』を始めた糸井重里が、「インターネットに触れて思ったこと、感じたこと」を書いたものだが、それが10年以上経って「いまの時代が予見されている」と話題になった。そういった声が本人や出版社に届き、文庫化されることになった。文庫化にあたって、最低限の用語などを整理したものの、内容にはほとんど手を加えず、そのかわりにこの十数年で感じた「インターネット的」なことを「続・インターネット的」として本の最後に添えた。

「インターネット的」とは、「インターネット自体がもたらす社会の関係の変化、人間関係の変化みたいなものの全体」を表すという。たとえば「リンク」という発想が生まれる以前のつながり方というのは、“これをするために、こういう情報はないか”といった要請があったときに“はい、その情報なら、ここにあります”と差し出す「ジョイント」的なつながりだった。しかし「リンク」というつながり方は、もともと「問い」のほうにも「答え」のほうにもたくさんの附属する情報があり、それが有機的につながりあうというのが魅力だという。

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 文庫化に際して追記された「続・インターネット的」で糸井氏は「十年間、人はこの本をあまり読もうとしなかったのです」と語っている。その大きな理由のひとつは、この本には「インターネットは儲かるぞ」とは書かれていないため。「ぼくは『インターネット的』という本のなかで、インターネットそのもののすごさよりも、インターネットをぼくらがどんなふうに使っていくのかということについて書きました。」

 特徴的なのは、この本が全体を通して「人のつきあい」にフォーカスしていた点。人間の根本や、どうしようもなく人を突き動かす感情というものは昔から変わらず、インターネットが登場しても、それを奇跡や魔法としてではなく「道具」としてうまく使っていく――それを書いた点が再評価された所以だと糸井氏は言う。インターネットが進化した今読んでおきたい1冊。


再評価の声が本人と出版社に届き文庫化

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