米国で大流行? 牛まるごと1頭をムダなく使い切る“ヒップスター”って?

2015/1/27

ヒップな生活革命

ハード : 発売元 : 朝日出版社
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著者名:佐久間裕美子 価格:※ストアでご確認ください

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 ジャンクフードに薄い味のアメリカンコーヒー。大量生産された洋服。消費大国アメリカには、質よりも効率重視、そんなイメージが長年ついていましたが、今、アメリカ人の意識は大きく変わり始めたらしい。「ヒップスター」と呼ばれる人々が中心となり、起こしている変革の波を、その社会的背景や人々が発するメッセージを伝えるという視点で、ニューヨーク在住のライターが描き出したのが、「ヒップな生活革命」です。

 驚くほど美味しいコーヒーを出すカフェ。産地直送の野菜。手作りのクラフト文化に、手作り感あふれる新しい雑誌。少し前のアメリカでは考えられなかったことばかりですが、今、アメリカではファッションや食を含めたライフスタイルの分野やメディアの世界で新しい動きが生まれているそうです。

 そんな流れを作り出したの「ヒップスター」と呼ばれる人々。彼らはどんな人たちなのかというと、インディペンデントなコーヒーショップにいて、大手のチェーン店には行かずに地元の個人経営の店を好み、健康志向。なるべく車には乗らずに自転車で移動し、服装も大量生産された商品ではなく、古着や個人経営のブランドを好む。週末には郊外で過ごし、職業はデザイナーやスタイリスト、アーティストなどクリエイティブ系が多い。といった具合で、イメージがややつかみにくいのですが、「主流と共存しつつも、自分の商売や表現を通じて自己の価値観を出張している」、そんな人々だそう。

 本書は取材に基づいた事例が豊富です。豆や淹れ方にこだわりぬいたコーヒー文化「サード・ウェーブ・コーヒー」は、コーヒー好きなら興味のある内容。食に関しては、「ニューアメリカン」と呼ばれる素材料理のムーブメントの話も面白い。その流れに大きな影響を与えたアンドリュー・ターロウは、素材を生かした料理を作るだけでなく、まるごと1頭購入した牛から無駄がでないように、残った皮で靴やバッグを作るというのですから驚きます。また、レコード店の復活、アナログ盤の人気などは、音楽好きには興味をそそられる事例です。

 サブプライム危機を経験し、経済的にも文化的にも打撃を受け、活気を失ったアメリカから生まれた新しい流れは、自分たちが消費するものの本質を強く意識したり、同じコミュニティの人たちが作った商品を買ったりと、これまでの、大量消費を良しとしてきたアメリカとはずいぶん違う。そんな彼らの新たな生き方から、日本に暮らす我々も、生き方のヒントが得られるかもしれません。


目次を見ると、「グルメになったアメリカ人」というタイトルが。アメリカ人とグルメという組み合わせは、なんだか笑えます

「サード・ウェーブ・コーヒー」ショップ。ポートランド等リベラルな都市を中心に新たな動きは起こっています

売りながら「買うな」という広告を打ったアウトドア・ブランド、パタゴニア。消費主義への警鐘とはいえ、大胆ですね