今こそ温故知新のとき。2500年の時を超えて今も輝きを放つ孔子の教え

更新日:2011/9/5

論語 現代に生きる中国の知恵

ハード : PC/iPhone/iPad/Android 発売元 : 講談社
ジャンル:趣味・実用・カルチャー 購入元:eBookJapan
著者名:貝塚茂樹 価格:648円

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3.11以降、中身の薄い自己啓発本やマニュアル本が色あせて見えるようになった人は多いのではないだろうか。私もそうだ。長い間、手軽に読める本ばかりどんどん出版され、地味なタイトルや装丁、考えながらじっくり読まなければならないような本は敬遠されてきたような気がする。
  
でも、今は、ライフスタイルではなく、生きることが、今しか使えない実用書よりも、いつの時代でも生きるよりどころにできる哲学のようなものが求められているのではないだろうか。

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そんな気分になっていたこともあって、何となく論語を読んでみたくなった。本格的に論語を学ぶのは大変だが、この本でも孔子の教えの魅力は十分に知ることができる。また、中学生でも理解できるような平易な言葉で書かれているので読みやすく、自分の理解力に応じて味わうことができる。論語に少しでも興味のある人は、本書を論語の入門書として手にとってみてはいかがだろう。
  
孔子は気難しい思想家ではなく、豊かになることや楽しみを持つことも肯定していたようで、それも論語の魅力になっている。私がいいなと思った孔子の言葉をひとつご紹介しておわりにしよう。
  
「子の曰わく、これを知る者はこれを好む者に如かず。これを好む者は、これを楽しむ者に如かず」
  
孔子が言われました。「学問をして知っているという人間も、本当に知ることが好きだという人間にはかなわない。また、好きというのも、これを本当に楽しんでいる人間には及ばないものだ」と。

この本が書かれたのは、新幹線が開通し東京オリンピックがあった1964年。この頃の本の目次はこんなにすっきりしていた

有名な學而編。そんなに深い意味があったのかと発見

論語の原文、日本語の読み方、そして訳と解説という構成になっていて読みやすい

為政編。刑罰がなくても悪事を働く人のいない社会は理想だ。法律や規則が多く、厳しい刑罰が必要な社会ほど、人間が未成熟ということになるだろう (C)貝塚茂樹/講談社