女性たちの貧困 「普通の生活をするのが夢」でいいのか?

2015/2/1

女性たちの貧困 “新たな連鎖”の衝撃

ハード : 発売元 : 幻冬舎
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著者名:NHK「女性の貧困」取材班 価格:※ストアでご確認ください

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 読みながら、ずっと心にあったのは、社会への問題意識というより、ある種の「恐怖」だったように思う。

 昨年、NHKの『クローズアップ現代』や『NHKスペシャル』で特集され話題をよんだ「女性たちの貧困」について、番組で紹介しきれなかった取材者(生きるために必死に働き続ける10代後半から20代の若年女性たち)の姿や、取材の中で心に去来した思いなどを綴った、番組取材班による手記。

 政府は女性の活用を掲げるが、現実の世界では単純労働の海外移転など産業構造の変化もあって、学齢や技能を持たない多くの女性たちはサービス系の非正規雇用の職にしかつけず、しかも男性平均より少ない賃金によってギリギリの生活を強いられている(取材班の調べによれば、非正規雇用の女性のうちの8割が「困窮」の状態にあるという)。母子家庭の家計を支えるため、休む間も惜しんでアルバイトを掛け持ちする少女、風俗店が託児所まで完備し、多くのシングルマザーの駆け込み寺となっている実態、キャリーバックに財産一式を詰め込み街をさまよう少女たち…「普通の生活をするのが夢」と語る、たくさんの女性たちの奥に漂う深い「無力感」のようなもの。親世代から受け継いだ経済的な困窮は、精神的な困窮にも連鎖するという現実に、いたたまれない気持ちにさせられる。

 では、こうした社会を、どうしたら変えていけるのか。取材班にもまだ答えはでていないし、当然ながらそれは、我々自身が考えていかなければいけない問題だ。ただ、ひとつ確かなのは、彼女たちの現実は世の女性たちにとって「いつ自分が同じような立場になってもおかしくない」ものであり、この本もきっかけのひとつとして、その重みを自覚的に受け止めておいたほうがいいということだ。

 離婚や夫の死など、彼女たちの人生の歯車が狂った遠因には、親世代にふりかかった突然の「困難」があることが多い。そうした現実はなにも自分に無関係の類いではなく、まるで道にぽっかり空いた「落とし穴」のようなもの。だったら、いざという時、自分はどうやって生きていけばいいのか? この切迫感は残念ながら男たちにはわからないかもしれないし、おそらく社会制度の整備にはまだまだ時間もかかるだろう。まずは女性たちが「自覚的に生きていく」こと。それがある種のセーフティネットにもなるはずだ。


「はじめに」より。いきなり衝撃的な一言が

「目次」より。7章にわたりさまざまな角度から切り込んでいく

巻末には事態の深刻さを具体的に伝える統計データが並ぶ(「目次」より)

第一章の扉より