優しくてあったかい、家族になっていく二人の食卓＆お弁当レシピ・コミック

レシピになるマンガの人気の理由って、“シチュエーション込みで楽しめる”ことだと思うんですね。
　　
ほら、誰もが憧れる「ハイジの白パン」！ あれって要するにただの柔らかいパンじゃないですか。でも、ハイジがおばあさんのためにとっておいたっていうあのシーン込みで「うわあ！ 柔らかい！」ってなるわけですよ。ドラちゃんのドラ焼きもしかり、キャラクターや物語に感情移入するほどおいしそうに見えるし、憧れる。しかも実際の手順が、丁寧に図解されているとくれば実用的もかねそろえて人気が出ないわけがない、と思うのですがいかがでしょう。

さて、この『高杉さん家のおべんとう』もそんな楽しみの得られるすぐれものマンガです。亡くなった叔母の忘れ形見・久留里（くるり）を引き取ることになった高杉温巳（はるみ）。
　　
突然、中1の、しかもドクールな美少女との同居は、研究畑の野暮天31歳（もちろん独身・恋人なし）には戸惑いの連続。そんな二人の心の交流を描くのが主だったストーリーですが、中学にはお弁当が必要で、しかも育ち盛りの成長期とくれば栄養バランスも必須。くわえて、主婦並みの家計感覚をもつ久留里のキャラクターが生き、「安い・うまい・栄養満点」の食事＋「夕飯はあしたのお弁当も考えて☆」もそなわった実用性満点マンガなのです。
　　
そしてですね、じつはこの作者・柳原望さん、高校時代から大好きな漫画家さんで、たいがいの作品は読んでいるのですが、なんといいますか、あたりまえのことに気づかせてくれる、心温まる日常を描くのが抜群なのです。だから時には、ちょっと赤面しちゃうくらいストレートで、ベタ甘だったり青春だったりするのですが、ほんわかほのぼの感も満載で、イイんですよね～。
　　
そこでまた冒頭のシチュエーションの話にもどりますが、その「イイ」感じが食事のシーンに直結して、「あ～これたべた～い」「つくりた～い」になるのです。実際わたしもいくつかつくってみました！ ぜひみなさんもお試しあれ☆

美少女・久留里（12）を引き取ることになった温巳（31）

最初はこんなにきつかった久留里も…

温巳の不器用ながらまっすぐな愛情に、きのこ狩りでこんな笑顔を見せるまでに

目次をみるだけでおいしそう

ちなみに、最初にわたしがつくってみたのは2巻のきのこごはんです