入門者の半数が脱落する「座禅」って? 職業・坊主が過酷

更新日:2017/3/6

坊主DAYS

ハード : 発売元 : 新書館
ジャンル: 購入元:KindleStore
著者名:杜康潤 価格:※ストアでご確認ください

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 日本の宗教模様は世界的にみても驚かれることが多いそうで。なにせ正月には初詣、お盆になったら墓参り、クリスマスは一大イベント。確かに冷静になって考えてみると、神道、仏教、キリスト教と随分節操のない有様です(笑)

 仏教や神道は、宗教というよりはむしろ文化に近いもの。そんな感覚がわりと一般的になっていると思われるこの時代、「お坊さんの修行生活」がどんなものなのか、ほとんどの人は知らないものです。さて、そこでどんな生活をしているのだろう…と気になったならば手に取るべき本が『坊主DAYS』。著者の兄は寺3代分の坊主血統濃縮120%という、サラブレッド坊主さま。彼の体験した修行生活のよもやま話で、楽しみながらリアルなお坊さんの世界を垣間見ることができます。

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 著者の兄が修行した臨済宗といえば、あの「一休さん」の元ネタになったお坊さんが所属する一派です。そしてひたすら座禅して悟りを開くという、とてもストイックな宗派でもあります。修行するために僧堂に入門するにも大変で、なんと最初から関門が。まずは形としてけんもほろろに入門を断られても粘って2日耐える「庭詰」、次にある1室で3日間座禅する「旦過詰(たんがづめ)」。特にこの旦過詰はある年では入門者の半数近くが脱落したほどの難関で、なにせ何もない部屋で座禅を続けていると家族や友人、趣味、食事、そして恋人のことが次々と浮かんでくるとのこと。そんな煩悩に耐え、ようやく入門することができるのが「出家」の道。権力者が困ったらほいほい出家していた、という教科書知識の安易なイメージは、この時点で粉みじんに吹き飛ぶのです。

 他にも自家菜園の農作業、薪割りなどの日常生活も修行の内。睡眠時間は大体4時間の朝3時起き、冷暖房のない生活、生活スペースは畳1枚分、などの生活ネタも大変面白かったのですが、マイベストネタは「老師はアイドル」です。老師が好きすぎるお弟子さん達の、「オレ達の老師にはこのまま独身を守ってもらおうね同盟」が出てきた時には思わず笑ってしまいました。縁遠いイメージのお坊さんを身近に感じられた、良いエッセイ漫画でした。

 


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「あのカッコで電車に乗るの!?」「そうよ。笠引っかかってないといいわね」丁度電車で読んでいて吹きました

人生の師匠、生き仏への老師への敬愛っぷりがすごい(笑)