駆ける馬たちがあんなに一生懸命なのは…

小説・エッセイ

2011/4/21

たった一瞬の栄光――伝説を駆けぬけたサラブレッド

ハード : PC/iPhone/iPad 発売元 : 祥伝社
ジャンル: 購入元:電子文庫パブリ
著者名:柴田哲孝 価格:550円

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競馬、と聞いて、競馬?何それ何のことですか?

…という人は、ほんどいないと思います。勝馬投票権は買ったことがないという人は、おられるかも、ですが。昨今では一般紙にもレースの結果が掲載されていますし、テレビのニュース番組でも他のスポーツなどと一緒に取り上げられてもいます。競走馬の名前がわからなくても、騎乗している騎手の名前がわからなくても、何という名前のレースなのかわからなくても、テレビの画面にしばし映し出される、一心不乱にゴールを目指して駆ける馬たちの姿に思わず見入ってしまったことのある、のは、私だけではないハズです。

本書は、一時代を築いた、いや走り抜いた競走馬たちと、彼らを「伝説」「名馬」と言わしめた人々の物語です。

そう、競走馬は勝手に競走馬になるわけではないのですよね。馬を育てる人がいるのです。レースでも馬と騎手とが共に戦う。競馬は馬のみで成り立っているのでは有らず、なのです。競馬の語り部として長年雑誌等で連載を持つ著者・柴田哲孝さんが、それをしみじみと教えてくれました。主に、馬の世話をする厩務員さんと馬と共に戦う騎手さん、そのお仕事の微細を知らない私ですが、馬たちの戦歴をたどりつつ聞くその言葉は、普段耳慣れない「業界用語」がたくさん出てくるにもかかわらず驚くほど心に響くものがありました。そしてやっぱり競馬で語れるべきはまず馬なのだ! ということも。あっさりと記されたその馬の来歴、どこで生まれてどこで育ってという類いのものなのですが、それが後のドラマに繋がっていく様は、競馬ならではなのではないでしょうか。だからこそ多くの人が競馬に見せられていくのだなと思いました。

震災関連の報道が紙面の大半を占めるなか、3月11日(現地時間)、ドバイワールドカップという世界最高の賞金総額を誇る国際レースの舞台で、でヴィクトワールピサが日本馬として初の勝利を収め、2着にも日本のトランセンドが入賞した、という、歴史的快挙のニュースがひっそりと掲載されました。

短いニュースでしたが、この記事を目にしたとき、ターフを駆ける馬の足音と歓声が聞こえたような気がしてしばし胸に熱く感じ入るものがあったのは、この本を読んでいたからだと思いました。そして、時がこの記事をもっと大きく掲載することを許さなかったことに、改めて悔しさと悲しさを感たのでした。

シンプルだけど真実の一言

ある騎手についての書き出し。この人についてもっと知りたくなりませんか…?