笑って泣ける! タレント小説という枠を超えた名作です

小説・エッセイ

更新日:2012/3/2

陰日向に咲く

ハード : PC/iPhone/iPad 発売元 : 幻冬舎
ジャンル:小説・エッセイ 購入元:電子文庫パブリ
著者名:劇団ひとり 価格:486円

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芸人劇団ひとりが、不器用にしか生きられない人々の心の交流を描いた名作。累計80万部を突破し映画化までした、タレント本というジャンルでは片付けられない、切なくも優しい短編小説。

あらゆる人物を一人で演じる“一人コント”という素晴らしい芸を持つ劇団ひとりが書いた小説だけあって、主人公たちがなんとなく彼が演じるコントの人っぽい。

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ホームレスに憧れるサラリーマンや、売れないアイドルをひたすら応援する少年。自分の夢を探し中の女の子に、借金を苦にオレオレ詐欺をはじめようとするけど、オレオレ詐欺の仕組みがイマイチわかっていない男。どこかしら、というか見るからに間抜けな主人公たち。彼らはいつだっていたって真面目なんだけど、やっぱり間抜けゆえにどこかがおかしい。彼らが物事を真剣に考えれば考えるほどなんだかコミカルで笑ってしまう。声にだして爆笑してしまう場面も多々あって、実はこの小説、電車の中で読むことはオススメできません。

ただ、そうやって笑いながら読んでいると、一転して涙を止められないようなシーンも出てきてしまいます。こんな風に笑いながら泣けちゃう所も、この小説のすごいところ。

様々な人を観察し、それをおもしろく、そして切なくも演じることのできる劇団ひとりだからこそ描けた小説だと思います。ちなみにこの本が発売された頃、私はこの本にはまりすぎて、色々な人にプレゼントとして送っていました。タレントが書く小説だと思って未読の方もいると思いますが、そんな方々はぜひ読んでみてください。タレント本の枠を超えてますから!けど、笑ったり泣いたりしてしまうので、電車の中で読むには注意が必要です。

短編のタイトルからして、劇団ひとりさんの一人コントの主人公みたい

ホームレスの「モーゼ」に憧れついて行く主人公

自由とは何か。まず寝転がって空に向かって口笛を吹くこと…って音が出ない!

どの短編の主人公も色々悩みはありながらも、それなりに楽しそう…