日本文化のすべてを「縮み志向」で説明することは妥当か?

2011/5/9

「縮み」志向の日本人

ハード : PC/iPhone/iPad/Android 発売元 : 講談社
ジャンル:趣味・実用・カルチャー 購入元:eBookJapan
著者名:李御寧 価格:864円

※最新の価格はストアでご確認ください。

日本でもかなり読まれた本で、印象的(日本人にとってはややネガティブに響くが)なタイトルなので、どこかで聞いたことがあるという人も多いかもしれない。まず、驚くのは筆者の日本文化や歴史、習慣、行動様式に至るまで、その知識と造形の広さと深さ。日本人でも知らないことが多いので、自分たちの文化を外からの視点で概観するのには手頃な本だと思う。
  

「なにもなにもちいさきものはみなうつくし」という清少納言の言葉が象徴的に何度か出てくるが、たしかに日本人は小さいもの、かわいいものが好きだ。中国人が好むという重そうな牡丹の花より、可憐な桜や萩(万葉集でいちばん読まれているのは萩の花だそう)などの花を好む。私も含めて、日本人が「かわいい」という言葉を多用するのも、日本人がちいさいものを好むことと無関係ではないような気がする。
  
筆者は俳句、茶の湯、盆栽、一寸法師、枯山水の日本庭園、扇子、折り詰め弁当からラッシュアワーの駅のホームの押し屋、パチンコに至るまでをすべて「縮み志向」で切っていく。そういう捉え方で行くと、かなりの日本的なものがこれで説明できるようで非常に興味深い。が、反面、なんでもかんでも「縮み志向」で説明されることに、読んでいくうちに次第にうんざりしてくるのもたしかだ。
  
また、「なるほど、弁当箱を持って出勤するあの小市民たちは、とてもしっかりした『べんとう男』なのでしょう」などという、揶揄するような客観性に欠ける表現もしばしば見られるので、読んで不快に思う人もいるかもしれない。興味のある方には、それを承知で読むことをお勧めしたい。ちなみに、韓国では「べんとう」は恥ずかしいものだそうだ。
  

縮み志向の日本人の目次。日本の文化、歴史、風習から現代のテクノロジーに至るまで、幅広く実例を取り上げながら、「縮み志向」で説明を試みる (C)李御寧/講談社