『ちーちゃんはちょっと足りない』の作者が描く、生きるのがちょっと下手な若者たちの青春ストーリー

公開日:2015/3/22

死にたくなるしょうもない日々が死にたくなるくらいしょうもなくて死ぬほど死にたくない日々

ハード : 発売元 : 秋田書店
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著者名:阿部共実 価格:※ストアでご確認ください

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 阿部共実といえば、不気味だけど可愛らしいキャラとストーリーが若者に人気の作家。『死にたくなるしょうもない日々が死に​たくなるくらいしょうもなくて死ぬほど死にたくない日々』という長いタイトルの今作は、オムニバス形式で全11話のストーリーが収められている。表紙のインパクトに思わず手にとってしまう読者も多いのではないか。

 第1話は「お前がどんな姿、形をしてようとも」。自殺した弟・修太郎のアパートの部屋で降霊の儀式を試みる兄。ネットで見つけた「簡単にできる降霊の儀式」という胡散臭いページを頼りに準備を進め弟の霊を待つ。しばらくすると何かが這いずる音が聞こえる。そして、そこに現れたものは?

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 全体を通して、生きるのがちょっと下手な若者たちが描かれている。友達に馴染めなかったり、未消化の青春に振り回されたり。かと思えば、たまに終始ほのぼのとしているエピソードも混じっている。登場人物たちはそれぞれに何かしら不満を持ちつつも、楽しんで生きている印象もある。キャラ同士で会話がかみ合っていないまま状況が進行していたりと、素直に理解しようとすれば迷いこんでしまう独特の世界観なのだが、それが癖になるという人も多いだろう。

 阿部共実は昨年末、『ちーちゃんはちょっと足りない』が「このマンガがすごい!2015」オンナ編第1位に選ばれた。日々にちょっとした不満を持って生きる人々には是非そちらも合わせて楽しんでほしい。

●『ちーちゃんはちょっと足りない』レビューを読む
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