自分以外誰ひとりいなくなった世界でも、彼はヒーローになれるのか

2015/3/30

ぼっちマン

ハード : 発売元 : KADOKAWA 角川書店
ジャンル: 購入元:KindleStore
著者名:榊原 宗々 価格:※ストアでご確認ください

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 このマンガの中で、世界はあっけなく崩壊する。普通は「世界崩壊」なんて大イベントは物語の大オチだったり、起承転結の「転」の部分として扱われることが多いだろうから、上記のような情報を明かしたら「ネタバレいくない」というブーイングが起こりそうなものだ。

 だがこのマンガでは7ページ目で早々に世界は崩壊する。街はどこまで行っても死の風景が続く。人類は主人公であるひきこもりの少年・田辺涼たった一人を残し、すべての人間が死に絶える。そんな、世界崩壊エンドを迎える物語のラストシーンみたいな光景からこの物語は始まる。始まって早々、「いったいどうやってこの話を展開させていくんだろう」と不安になってしまうようなシーンの連続に、このマンガ「1巻」ってついてたけどきちんと2巻まで続くのかなぁ、と、今読み始めたばかりのマンガの行く末を心配してしまう。

 しかし、もちろんそんなのは杞憂だ。あまりに突然な世界崩壊と、人類滅亡という展開に戸惑う主人公とわたしたち読者の前に現れる、主人公の腹違いの妹の幽霊。人類を一挙に滅ぼした原因である、人類と似ているけれど人間ではない、謎のイキモノとの対峙。そのイキモノたちの親玉らしき者から語られる、「人類が主人公以外全員滅ぼされた理由」と「主人公独りだけ残された理由」。それを知った彼は絶望し、しかし、あることをきっかけに彼はそのイキモノ達と戦うことを決意する。

 そのイキモノは、今まで彼らが人類に干渉してきた結果発生した戦争や災害、犯罪の類を「ただの余興」と言ってしまうほどに強大な力を持っている。そもそも、前兆すら気取らせることなくあっという間にほぼ全人類と地球の文明を消滅させてしまうようなイキモノなのだ。それに、いったいどうやって立ち向かえというのだろう。
立ち向かえたところで、自分以外の人間がひとりもいない世界では、ただ緩やかに「自分の死=人類という種族の死」という絶望的な死を待つしかないんじゃないだろうか。

 『ぼっちマン』という、どこか軽い能天気なタイトルでありながら、主人公が直面している問題はあまりにも重い。戦うべき相手に勝利したとしても、人類が滅亡している以上もう「これまであったような平和で平穏な生活」は戻ってこないのだ。どうあがいても絶望しか見えてこない状況で、果たして彼はどこまで戦えるのだろうか。


冒頭にて描かれる見事なまでの崩壊っぷり

この光景はなかなかクるものがある

実は特殊能力持ちの主人公

彼が独り残された理由は、実はこの能力が関係している