『ジャンプ』?『チャンピオン』? 「超王道」を貫く歴史ファンタジー『黒虎』

公開日:2015/4/12

黒虎

ハード : 発売元 : 秋田書店
ジャンル: 購入元:KindleStore
著者名:鈴木快 価格:※ストアでご確認ください

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 1話を読んでまず真っ先に確認したのは「あれ? 『ジャンプ』にこんな新作あったっけ?」という確認でした。『チャンピオン』でした。1巻を読んでもう一度巻末を確認しました。まごうことなく『チャンピオン』でした。『黒虎』はついうっかり出版社の確認をしたくなるほどの「超王道」を貫く、歴史(架空江戸)ファンタジーです。

 今は昔、天下泰平の世を築いた徳川幕府。徳川家には、剣術弓術体術忍びなど、各々特化した技能を持つ徳川十二支神将とよばれる12の家元がありました。黒縞虎鉄(くろしまこてつ)は、そのうちの“寅の門”を司る黒縞家の次男坊。強く厳しくも誇り高い母のような、「鋼にも勝る“守護の心”」を持つ立派な武士になりたいと願っていました。しかしそんな当たり前の日々は、江戸の上空に巨大な“黒船”が現れ崩壊します。瞬く間に徳川幕府は崩壊し、虎鉄は母と兄を失い、世は動乱、弱肉強食の世界へと変貌し7年。誰もが黒船への恐怖で助けを求める声に耳を塞ぐ中、母から受け継いだ信念を貫くために虎鉄は刀を握って立ち上がります。黒船に虐げられる人々を救うために、かつての徳川十二支神将を集めるために世を巡る旅に出て…。

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 という物語が繰り広げられるわけですが、さて、私にはここで1つ疑問があります。なぜ、これを2巻まで一気に電子書籍化しなかったのか、と。なんせこの『黒虎』、一気に2巻まで読んでこその漫画なのです。2巻のある地点からどうにも「作者の予定を狂わせるほどキャラクターが走り出した」のではないかと思われ、物語の面白さのまさにそこからが本番。予定のくびきを引きちぎって駆け出すキャラクターは力強いし、なにより面白いものです。だがしかし、電子書籍にはまだ1巻しかないという罠…!

 ぜひとも、ぜひとも1、2巻のセットで購入し読んで楽しみたい作品なので、速急なる2巻の電子書籍化を望む所存です。なにとぞ…!


虎鉄に「守るための強さ」を説く母、琥珀。その志は確かに虎鉄の中へ…

平和な日常の終焉は、黒船の来航とともに。江戸の上空に浮かぶ姿は圧巻

黒船の武力を恐れ「見捨てる」が正解になってしまった世の中に、虎鉄は信念を携えて立ち上がります