ワークライフバランス推進の第一人者が書いた、部下を持つ管理職・組織人としての世渡り指南書

更新日:2011/10/21

そうか、君は課長になったのか。

ハード : 発売元 : hagiwara Printing co.
ジャンル: 購入元:AppStore
著者名: 価格:900円

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「いま注目の社長が職場のリーダーに贈る37通の手紙」と書籍紹介では書かれていますが、著者の佐々木常夫氏はワークライフバランス推進の第一人者と言われていて、講演なども多数されている著名人です。

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本書以外の著書も「部下を定時に帰す仕事術 ~『最短距離』で「成果」を出すリーダーの知恵」「働く君に贈る25の言葉」「『本物の営業マン』の話をしよう」などがありますが、 課長時代に病に倒れた妻と自閉症の長男を守りながら、部下をまとめ上げ、数々の事業を成功させた自身の経験が、これらの著書を生んだのではないかと感じています。
  
そんなふとけんは部下=読者として、ぜひ相談したい悩みがあります。
  
仕事量と納期とマンパワーのバランスが崩れていて、「プレーイング・マネジャーにはなるな~課長は新しい世界の仕事」と言う内容には納得できても、実際問題としてプレーイング・マネジャーとして部下と一緒にやっても仕事が終わらない状況を、どう打開すればよいか、ということです。
  
こんな悩ましい相談にも、ソフトに答えてくれそうな著者の人柄がにじみ出ていて、共感性が高い仕上がりになっています。また本書で紹介される「ビジネスマンの父より息子への30通の手紙」も、名著と言われていますが未読だったので、これを機に読んでみたくなりました。

本書は全5章だてです。第1章:まずはじめに、「志」をもちなさい、第2章:課長になって2か月でやるべきこと、第3章:部下を動かす、第4章:社内政治に勝つ、第5章:自分を成長させる、となっているのですが、社内政治の章があることには驚き半面、納得です

目次=明確な佐々木常夫氏からのメッセージとなっていますが、中でもふとけんの心に残ったベスト3を紹介すると、①高い「志」が人を動かす~スキルだけでj課長は務まらない、② はっきりと言葉にする~「あうんの呼吸」が仕事をダメにする、③「時間厳守」を叩き込む~時間にルーズな課は成果を出せない、です。まさに指南書なのです

本書で注目したいのは、歯切れとテンポのよさ、そして例示のうまさです。まるで講演を聴いているように、言葉がアタマに流れ込んできます。これは投げかけや言い切りに加えて、結論ファースト、事例や会話からの書き出しなど、さまざまなテクニックも駆使されているからです。文章がうまくなりたい! と思う方は、研究対象として読んでみるのもお勧めです

単なるハウツーやマニュアルではなく、志や生き方・人生観や人間性への言及が折に触れてあるところが、本書の奥深さを感じさせます。人間には個性があり、組織にはさまざまな考え方やいろいろな事情を抱えた人がいる、ということを受け止めた上での、著者のメッセージなので染み入るように心に入っていくるのは、ふとけんだけでしょうか