優しい時間の流れる空間で、葛藤と共に成長する物語

ライトノベル

2011/6/16

ガガガ文庫 イヴの時間 another act

ハード : PC/iPhone/iPad 発売元 : 小学館
ジャンル: 購入元:電子文庫パブリ
著者名:水市恵 価格:324円

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時代は近未来の人間とアンドロイドが共存する世の中。アンドロイドは人間に逆らうことはできず、『人間型ロボット』と称される通り、ただ言われたことを全うする機械になります。
  
すでに、アニメーションでご存知の方がおられるかもしれませんが、このノベライズは主人公リクオの心理描写が丁寧に書き込んであり、また、先の気になる展開や終盤のどんでん返しが好奇心をくすぐってきて、あっという間に読み終わってしまいました。

まず最初に、電子書籍の漫画は読んだことはありますが、このような小説などは初めてでした。本で読むと1つのページに文字がつらつらと並んでいるイメージがありますが、iPhoneでは、横9列×縦20文字程度であり、もちろんビッシリ詰まっているわけではありませんから、すらっと次のページへ進めてしまいます。
  
さて、肝心のお話ですが、ある日リクオは、家にいるハウスロイド(メイドのようなアンドロイド)に命令もしていないというのに、寄り道という勝手な行動をしたログを発見します。そのログを頼りに、寄り道した場所を突き止めると、そこは人間とロボットを区別しない『イヴの時間』というカフェでした。
  
アンドロイドは頭の上に立体映像があり、それで人間かロボットかを区別できるのですが、そこではそれがないので、誰が人間で誰がロボットなのかわかりません。ロボットは心を持たないはず…それなのに、そこではアンドロイドも人間と同じような振舞いをして、あたかも心を持っているように見えてしまいます。
  
過去の出来事から、アンドロイドに対する葛藤を持っているリクオですが、人間かアンドロイドかもわからない常連客との交流を深めるうちに、さらなる葛藤が生まれながらも、それを越えていきます。
  
ちょっと意思の弱いリクオではありますが、その成長していく心の動きは、とても綺麗で、なんだか私自身まで優しくなれるような気がしました。

ロボット三原則というものが、この世界のロボットの有り方を反映しているような感じです

こちらが第二条と第三条

容姿は、明らかに人間と同じなので、頭上の立体映像の有無で判断するらしいです。それにしても、かなりすごい技術ですよね

命令の仕方は決まっています。ですが、見た目が人間なので、リクオが間違えそうになってしまう気持ちも、分かります

“the time of EVE”というフレーズこそが、この物語の始まりを表す大切なワードのようです