『東京都北区赤羽』清野とおるの完全実話。古傷を浄化する抱腹絶倒『バカ男子』

更新日:2015/9/25

バカ男子

ハード : 発売元 : イースト・プレス
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著者名:清野とおる 価格:※ストアでご確認ください

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 学校のトイレでひそかに大をしたのが友達に見つかり、あだ名が「ウンコマン」になる。給食時間、隣の男子と調子にのって笑わせ合い、口に含んだ牛乳を向かいに座る好きな女の子に吹きかけてしまう。卒業文集で「ヒーローになる」などと書いてしまう…。子ども時代にやってしまった失態やバカは古傷となり、思わぬタイミングでうずき、私たちを悶えさせます。

 思い出すたびに「あ゛あ゛あ゛あ゛」と叫びたくなる古傷は、忘れたふりを続けている限り、ひょっこりと顔を出します。浄化する方法はただひとつ。ネタとして人に披露し、笑ってもらうことだけ。本書は、「自分が楽になりたい」という作者の切実な思いが結実した一冊。子ども時代のトンデモなバカエピソードが、ユーモラスな文章とオールカラーイラストで出し尽くされたノンフィクション・イラストエッセイ。全て完全実話。忠実再現。爆笑必死です。

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 たとえば、下校途中に腹痛を訴える友達の気持ちを察し「一緒に野グソしない?」と心優しい提案をするものの、仲良くパンツを下ろし友達がひねり出し始めた瞬間「オレはウンチしないよーん!」と裏切り、絶交された苦い思い出。あるいは、近所の神社に出没していた変質者の射精を毎日のように観察しに行った痛い思い出。作者がやってしまった数々のバカエピソードを追体験するうち、読者は不思議と癒やされつつあることに気づくはず。それは、作者が願う“浄化”を助けているという、一種の人助けからきている情感でしょうか。否。追体験することで、読者自身がやってしまった同じようなバカを自ら浄化させているからなのでしょう。

 赤信号みんなで渡れば怖くない。さあ、今こそ当時のバカを引っ張り出し、大いに笑ってネタに昇華するときです! TVブロス コミックアワード2009「コミックエッセイ部門」第1位作品。


各バカエピソードに登場する哀れな被害者たち

オールカラーイラストというナゾの力の入れよう!

甘言を疑わない子どもの純真…

裏切った子ども時代の作者は、この後の展開をみじんも予想していなかったのだろう