幸田露伴が娘に伝えた「家事全般」。雑巾がけも露伴哲学のひとつ…

小説・エッセイ

2011/6/10

幸田文 しつけ帖 幸田文の言葉 (1)

ハード : PC/iPhone/iPad/WindowsPhone/Android 発売元 : 平凡社
ジャンル:小説・エッセイ 購入元:eBookJapan
著者名:幸田文編 価格:648円

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この本を読みながら、明治時代のこの奇特な父、幸田露伴を思う。なんという、男女平等の出来た人だったんでしょう…。

文の母は彼女が8歳のときに早世。後に来た継母は教育者でありながらも、しつけにも家事にも疎く、このときから父から娘へと、事細かな家事が伝えられてゆくことになります。

父と娘の間に交わされる、細やかな教授。厳しい父のもと、弟と喧嘩をしながら、禅問答のように掃除を解釈してゆかねばならない娘。こんな風に家事をきちんとこなしていた明治人にとって、掃除も人生を形作る重要な要素だったということを痛感します。

住空間を清めること。雑巾を使い、廊下を水拭きする、そのバケツの水の分量までもが決まっていて、それにもきちんと理由がある。水という自然の要素の持つ性質を雑巾がけから学ぶ。こんな生活は窮屈だったでしょうか…。

いまやプログラムをしておけば掃除機だってかかってしまう、住むことの快適さを求めて、生活の小さなディテールを逃して久しい私たちの時代、本当に豊かになったのか…と、常々私たちは自分たちに問いながら生活しているにもかかわらず、「こんな風に生活を見なさいよ」と教えられることもないので、惰性のまま毎日が過ぎてゆく…。それをシャキーン! と切り立ってくれるのがこの本です。

読後、姿勢を正さずにはいられない。その文面の高貴さと誠実さはさすが明治の文豪の娘…。

生活するということ。寝て、起きて、ご飯を食べ、働き、お風呂に入って寝る。その繰り返しの中で、どれだけ「豊かさ」を増やしてゆくか。物質に頼らない「豊かさ」は、彼女の昆虫学者のような詳細な観察眼によってどんどん広がってゆきます。著者の目にかかると、日常生活のほんの些細な出来事までが、ドラマを持ち、形を持ち、ずっしりと心に響いてくる…。途中、何度も何度も読み返したくなるフレーズが沢山。

幸田文の文章、中学の頃に初めて読んだときも圧巻でしたが、年をとって読むとなお、圧巻。老若男女を問わず大・大・大・お勧めです。でも、ことに中年以上の女性で、お父さんっ子の方、わんわん泣けると思います…。

きびきびとした文章に幸田文の明晰さが伺われ、同時に娘が父を思う気持ちがここかしこににじみ出ます…

この時代の人の文章って、ぎっしりと文字が詰まっていてページを開くたびにお得な感じがするのは私だけでしょうか…。読み応えずっしり

この「水」の章。ピカイチです

「なた」「薪割り」「美」が一線上につながる露伴講釈

彼女の固い口調で語られるジョークもまた、味があって (C)Tama Aoki,Takashi Koda