登場人物たちが交わす何気ない会話、穏やかな雰囲気に癒されます
更新日:2012/3/5
親友の恋人、恋人の親友って、親友伝い、あるいは恋人伝いにいつも話を聞いていて、ちょっとした芸能人のように「会ってみたい」人になってたりしてる。「あなたがいつも噂に聞いていたあの人!」みたいな。この関係を主人公の守は“義理の友達”と呼びます。
妻同士が親友と言う義理の友達である守と吉田君の二人が、ふとした事がきっかけで夏休みの旅行をすることに。どことなく遠慮がちな二人の旅行だけど、意外にもなんだか心地良い。のんびりまったり、けれど読後感がとても爽やかな、夏にオススメの1冊です。
この小説、大きな事件が起きる訳でもなく、淡々と登場人物たちの日常が進んでいきます。けれどその淡々とした雰囲気に、読んでいてとても癒されました。
守とユキとママの3人で「都民住宅の抽選に当たる確率は、ししとうの辛いのに1本目で当たるくらいの確率」なんて言いながら、当たったつもりで家の間取りについて相談しあう。ユキのママの入れてくれるお茶が、どれだけ美味しいかについて語り合う。特許事務所に勤めているユキは「誰にも言っちゃダメよ」と言いながら、いつも新技術の話を嬉しそうに話す。
こんな風に繰り広げられる、登場人物の何てことのない会話の数々。この他愛もない会話にこそ、この物語の癒し成分が凝縮されている。お互いに好意を持ちあう人々の会話は、読んでいてとても心地良いです。登場人物の会話の運びに、著者のセンスが溢れています。
それにしても、こういう小説に出てくる魅力的な女の子は、いつも直感的。ユキも、そしてユキのママも、直感で色々な物事を決めちゃう。「そんな気がする」って言って、そしてそれが自ずと上手くいく。魅力的な女の子の要素の一つに、直感が働くっていうのもあるなーと直感の全く働かない私は思ったのでした。
ユキがママを「おかあさん」と呼ぶ練習をした子ども時代。何気なく好きなエピソード
3人で交わす会話。淡々とした会話の中にも癒しがあります
アプリのバージョンアップをしてなかったので知らなかったのですが、単語を選択するとネットで調べられるようになってました。これぞ電子書籍!(って遅いか)