男の子ってなんでこんなに馬鹿なんだろう…呆れるほどにうらやましいオチコボレ高校生の青春
更新日:2012/3/2
チーム男子の代表作ともいえる『レヴォリューション No.3』。
ご存知『SP』の原作者、金城一紀さんの作品。
馬鹿騒ぎに全力をそそぐオチコボレ高校生たちの、つきぬけておばかでカッコいい爽快な青春小説を読みたいなら、この作品をおすすめします。
有名進学校エリアでひときわ目立つ、オチコボレ男子高に通う彼らのあだ名は「ゾンビ」。
1) 脳死判定なみの血圧値ほどの偏差値
2) 学歴社会における「生きる屍」的存在
3) 殺しても死にそうにないから
というのが理由だそうだけれど、そのネーミングセンスに脱帽です。
ある日、一年生の「ゾンビ」たちに通称ドクター・モロー(生物教師)はこう告げます。「世界を変えたくないか?」いわく自分たちが革命を起こすには、頭のいい優秀な遺伝子とまじわって子孫を残せばいい。かくして彼ら「ザ・ゾンビーズ」は、チケット制でブロック厳しい有名女子高の学園祭への潜入を試みるのです。電話番号をゲットするために。自分たちの革命のために。そして過去2年失敗し、今年の計画を大真面目に真剣に練るというのが1話目の大筋なのですが。
…あほだ! あほすぎる!
彼らの美学、哲学、正義。そのどれもは理屈は通っているかもしれないけれど、ザ・男子の思考は正直いってあほです。でもかっこいい! なんでだろう。
入院中だけれど絶大な信頼を集めるリーダー、ヒロシ。ゾンビ高校(勝手に命名)初の有名大学合格者を出すかも、といわれる読書家なのにべらぼうに強い舜臣(在日三世)。冗談にしか聞こえない、史上最弱のヒキをもつ山下。日本とフィリピンとスペインと華僑の血が混じる美男子で、金持ちマダムをはじめすべての女性を虜にするいい男・アギー。そして参謀ポジションの語り手、「ぼく」こと南方。
キャラクターも、いやっちゅーほど濃いです。
そして「女子高に潜入して番号をゲットする」なんて話のなかに、思わず泣かされるエピソードを入れ込んできたりするのも、ずるいというかなんというか。だって実は描かれていることは、意外とへヴィだったりするんです。でも、絶対にそれを誇張したり酔ったりしない。笑い飛ばして前に進む、それがザ・ゾンビーズなのです。
連作短編集なので読みやすいですし、文体もリズムよい一人称なので電子書籍で読むにはおすすめ。ちなみに映画化された『フライ、ダディ、フライ』はこの続編です。近作でザ・ゾンビーズの魅力にやられて、また会いたくなっても、いまのところあと2冊、続編が残っています。
フォントの大きさ、文字組みは変えられますが、わたしはこの大きさが読みやすかったです
こんな話を授業中に、大真面目にするのです。ザ・ゾンビーズ結成の瞬間