「北の国から」演出家が記す自らの半生は、脚本より奇なり?

2011/1/21

杉田成道 願わくは、鳩のごとくに

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著者名: 価格:800円

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冠婚葬祭にはドラマがある。ふたりの新しい門出を祝し…もしくは故人を偲び、集う人びとが繰り広げる人間模様――。
  
著者は国民的ドラマ「北の国から」を手掛けた演出家。彼は五十七歳のとき、再婚することになる。…お相手は三十歳年下の医大生。その部分だけクローズアップすると、「うらやましい」と思われる男性や「どうしてそんな年上のおじさんと?」と疑問に思う女性もいらっしゃるのではなかろうか。

「理想のタイプはステキなロマンスグレーのおじさま」と豪語するわたし(独身)ではあるが、もし自分が著者と同じ立場になったら戸惑うのは間違いない。
  
実際、本文を読み進めていくと、年下の女性(妻)の言動にかなり押され気味な老年期の男性の姿が見えてくる。
  
そんな著者の人生に、彼が長年関わった「北の国から」というドラマが被り、彼の周りにいる人たちの人生がクロスしていく。
  
幼き三人の我が子の行く先をどこまで見届けることが出来るのだろうか…、そういう老いた親として抱く想いも、時折文面から顔を覗かせる。
  
そこにわたしははっとしてしまうのだ。
  
普段まったく意識していないけれど、やがて確実に訪れる現実を突きつけられたような気がして。
  
――冠婚葬祭にはドラマがある。式場の受付で記帳する度に、ひとり身のわたしは思うのだ。
  
いまはまだ人を祝い…人を見送るばかりのわたしも、いずれ人に祝われ…人に見送られる日が来るはずだ、と。
  
その日が来るまではドラマのエキストラとして、みなさまの記憶というフィルムにささやかな花を添えましょう。

著者の家系図。先祖たちがいたからこそ、著者がいま生きていることがよく見て取れる

結婚式前日、年若き妻と亡妻の墓参りに行くシーン。著者の人生にとって、ひとつの大きな節目になったのは間違いなかろう

巻末に掲載された「杉田成道 インタビュー」は、電子書籍版のみ収録。何故、著者が自分のことや家族のことを書くに至ったのかを、セキララに語っている