確定申告のシーズンに思う。ベターな税制ってどんなの?

更新日:2011/9/12

人にいえない仕事はなぜ儲かるのか?

ハード : PC/iPhone/iPad 発売元 : KADOKAWA
ジャンル: 購入元:電子文庫パブリ
著者名:門倉貴史 価格:734円

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タイトルにつられて野次馬的好奇心で読んでみたのだが、この本は、実は、税金の仕組みについて、読者が興味を持つような事例を挙げつつ、わかりやすく解説した本であった。
  
人に言えない仕事、つまり違法なビジネスは、違法であるがゆえに所得税の対象になり得ないから儲かる。

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著者の試算では、脱税と、人に言えない「地下ビジネス」で税金を免れている分を合わせると、2004年時点でざっと22.4兆円、名目GDPに対する比率4.4%にもなるという。
  
地下ビジネスを表に引きずり出して課税対象にできれば、また、1人でイギリスやフランスの4倍もの納税者を見ているという日本の税務職員を増員し、“マルサの女”を増やして悪質な脱税を摘発できれば、庶民の税金を上げなくても国の税収はかなり増えるはず。
  
著者は、所得ではなく支出を基準にして個人に課税する方がより公平だとして「支出税」を提唱しているが、これも興味深い。支出税と消費税は似ているようで違うのだが、どう違うかについては、ぜひ、本をお読みください。
  
景気は思わしくないわ、国家財政は破綻寸前だわで、八方ふさがりなようだが、そんな時代でも「地下ビジネスは」だけはたくましく、日本の税制の弱点を突いて金儲けの隙間を見つけ出す。著者は、「地下ビジネス」のテクニックの中に、ビジネスに参考になるヒントも隠されているという。
  
今年も確定申告のシーズン到来。いつもはほとんど頭にない税金のことも、この時期になると、な~んとなく気になってくる。この本が、目先の節税対策ばかりでなく、日本の税制のあり方を考えるきっかけになるかもしれない。

現在の税制では立ちゆかないことは誰もが感じている。では、どんな税制が望ましいのか