どしゃぶりの女、殺したい女、自己破産の女…どんな女性たちなのか気になりませんか?
更新日:2012/3/5
どしゃぶりの女、殺したい女、自己破産の女、泣かない女…この中から自分がなりたい“女”を選ばなくてはいけないとしたら、ものすごく悩むと思います。どれも、幸せとは縁遠そうな女性たちに感じられるから。
実はこれ、吉田修一さんの短編集「女たちは二度遊ぶ」の各ストーリーのタイトルなんです。
幸せオーラが感じられないような“女”のタイトルがさらに7つ加わり、11編のストーリーからなる本書では、どの話にでてくる男性も、女性と出会い、短い付き合いをしたり、なんらかの関わりを持ち、そして、別れていきます。
登場する男性はフリーターや失業者、大学にろくに通わない大学生など。彼らが出会う女性は一日中なにもしなかったり、ちょっとしたことで泣いてばかりいたり、世間になじめなかったりと、おそらく、魅力的な女性とは呼べない女性たち。人生のある短い期間を一緒に過ごしたり、ある出来事を通してちょっとした関わりを持ったりと、そんなさらっとした付き合いにすぎないのだから、記憶のかなたに消え去ってしまってもしかたないかなぁと思える出来事や女性のことを、本書の男性たちはふとした折に思い出すのです。
もちろん、どの話しもハッピーエンドではなく、時に女性はひどい扱いを受けたりするのですが、読み終わったときには、どの女性も魅力的に思えてくるから不思議。移動時間に数話ずつ読みましたが、出会ったことも普段は忘れてしまっているような人々との出会いやさまざまな出来事が積み重なって、誰もが生きていくのだなぁと、そんなことを改めてしみじみと考えました。
全11編の短編集。タイトルを見ていると、どんな女性が出てくるのだろうと想像がふくらみます
「本当になんにもしない女だった」の一文から始まる「どしゃぶりの女」。なんにもしないって、どのくらいなんにもしないのでしょう??