あの古典伝奇小説が桜庭一樹の手で生まれ変わる。電書用ボーナストラック盛り沢山!

小説・エッセイ

2011/2/2

伏 贋作・里見八犬伝

ハード : 発売元 : TOPPAN PRINTING CO.
ジャンル: 購入元:AppStore
著者名: 価格:1,400円

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桜庭一樹と言えば、読書の鬼にして、その小柄な身の内に豊穣な物語をたくさん詰め込んだ、人間物語製造工場だ。恩田陸などもそうだが、桜庭一樹も本歌取りをしつつ、オリジナリティ溢れる作品に仕上げるのが非常に上手く、今回も名作古典、滝沢馬琴の『南総里見八犬伝』を見事に自作として昇華している。著者にとっては、初の週刊誌連載作品にして初の時代小説だが、唸る桜庭節は健在だ。

舞台は馬琴が『里見八犬伝』を書いている時代の江戸。「伏」と呼ばれる犬人間(!)が跋扈し、「伏」を狩ることで賞金を稼ごうとする者たちが江戸に集結しつつあった。14歳の少女猟師・浜路は、先に江戸入りしていた兄を頼って上京。小さくて可愛らしい外見にかかわらず、浜路は骨の髄まで猟師で、大きな猟銃をかついで研ぎ澄まされた猟師のカンと身軽さを武器に「伏」を追う。だが、「伏」たちと命のやり取りをするなか、次第に「伏」たちの抱える悲しい業を知ることに…。

桜庭作品のよいところである、善きものも悪しきものも、美しいものも醜いものも渾然一体となった混沌の魅力がここでも発揮されており、色白で切れ長の瞳の美形の伏は生臭い獣の息を吐いて残虐非道に人間の喉笛を噛み切る。浜路と伏の追跡劇から、馬琴の息子・冥土が記した贋作・里見八犬伝、伏・信乃が語る過去…めくるめく物語世界に幻惑されるのだ。

桜庭一樹と挿絵を担当した鴻池朋子による対談ムービー、書籍に入りきらなかった挿絵も収録され、章扉ごとに音楽が流れて、電子書籍ならではのボーナストラックとなっている。

桜庭が描こうとした和風Gosickの世界観にぴったりという鴻池朋子のイラスト入り章扉。音楽付き

華やかな対談ムービー「伏をめぐる小説と絵の世界」