性愛のタブーを破り、欲望に忠実に生きようとする大人のオンナを描いた女性のための官能短編集

小説・エッセイ

2011/9/4

アダルト・エデュケーション

ハード : PC/iPhone/iPad 発売元 : 幻冬舎
ジャンル:小説・エッセイ 購入元:電子文庫パブリ
著者名:村山由佳 価格:1,260円

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性愛のタブーを破り、女性の視点から描いた12のストーリーからなる官能短編小説である。

シチュエーションはバラエティに富んでいて、赤面する描写の連続だが、どの女性も自分のカラダと心が求める欲望に正直に生きようともがき、悩み、苦しみながら悦んでいるところが単なるポルノではない読後感だ。

女性にとってはときにしらけるばかりの男性向けのエロスとは違って、そのときの女性の心の揺れや身体感覚までも実直に描かれているので、セックスを伴う幾多の恋愛を経た30~40代の女性なら、ヒリヒリとそこに自分の姿を重ねられるかもしれない。そして、自分の中のパンドラの箱を開けて、禁断の一歩を踏み出してしまうかも…。

著者の村山由佳さんはかつて、千葉県鴨川市で農園生活を営んでいた自然派作家だった。しかし、「心が浄化され過ぎて、書きたいものがなくなってしまった」と、東京でのマンション暮らしに戻った人。その心境の変化をかつて新聞で読んだことがある。そのとき作家の業と覚悟のようなものを感じた記憶が残っている。

なるほど、この作風は田園生活にはそぐわない。でもね、私が鈍いのか、年齢のせいか(そんなことはないか、女は灰になるまで女って言うもんね)、禁断の愛や過激な表現が多い割にあまりエロスは感じなかったなあ。逆に不快さも全くなかったけれど。官能小説として読むには、表現が赤裸々で過剰な割にちょっと物足りない感じかな。

むずかしいね、エロスをきちんと描くのって。でも、12人のどの女性も、自分に嘘をつかず、本音で生きているのが愛おしいぜ!

英語の副題が添えられた12のストーリーで構成されていて、どの女性も一見、まわりにいそうなタイプ。でも、性愛の嗜好はこんなにバラエティに富んでいるとは…。短時間で一話さらりと読めるからiPhone向き。だけど、内容が内容だけに、電車の中では読みにくい?

私のお気に入りは、「言葉はいらない」という短編。ロシアの由緒ある血筋を受け継ぐユーリとの生活。ところがユーリというのは…。これぞ究極の禁断の愛。種明かしになるので、驚きの結末は読んでのお楽しみだ

あとがきで、村山さんは「肉体を伴わない恋愛なんて、花火の揚がらない夏祭りみたいだ!」と言い放つ。そう、恋愛に、年甲斐や分別など邪魔なだけだ