早世したマンガ家のインドだらだら旅行記

更新日:2012/4/5

ぢるぢる旅行記 インド編

ハード : PC/iPhone/iPad/Android 発売元 : ぶんか社
ジャンル:コミック 購入元:電子貸本Renta!
著者名:ねこぢる 価格:105円

※最新の価格はストアでご確認ください。

1990年に『ガロ』で衝撃的なデビューを果たし、人気絶頂の98年に31歳の若さで自殺したマンガ家ねこぢる。いまだに根強いファンを持つ彼女の旅行エッセイマンガが電子書籍で発売された。

90年代にねこぢるワールドにまんまとハマり、その後の顛末を知る人は、今もう一度ねこぢるの作品を手にとってほしい。

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野良犬がバラバラになった子どもの足をガウガウくわえ、死体を火葬する光景は観光客への見世物になっている。
貧困、カースト、宗教、ドラッグ。
すべてが混沌としてデタラメなインドの地で、ねこぢると夫(マンガ家・山野一)はメジャーな観光スポットを訪れるでもなく、ひたすら毎日をぼーっと過ごす。
ガンジャ(マリファナ)を吸って、テキトーなハンバーガーを食べて、ふらふらと街を歩いて。
物乞いも死体も、差別され続けるカーストたちも、2人にとっては全部がただの風景だ。それらの風景にいちいち胸を痛めるわけでもなく、むしろ「日本もインドみたいなもっとデタラメな国になっちゃえばいーのにな」とねこぢるは呟く。
「日本みたいな国で『自由です』とか言われても何をどーすりゃいーのか全然解んないし別にやりたい事なんかないもん」

このコミックが単行本で発売された3ヶ月後、彼女は自宅で首を吊って自殺した。
窮屈な日本よりも、混沌としたインドに深くシンクロしていたねこぢる。このエッセイの端々に、彼女の“生きづらさへの本音”が見え隠れしている。

野犬が子どもの足をくわえているのを、ボンヤリと見つめるねこぢる夫婦

人間の死体を焼く匂いは、「アジの開き焼く匂い」と同じらしいです

「先進国の落ちこぼれはなぜかインドを目指す」らしいです

「ハナクソみたいな選択肢しかない」と日本を突き放したな目で眺めるふたり

カラーページもあり。安宿のシャワーで感電しているねこぢるが可愛い(笑)