家族愛にジーンときます!――南極観測に出かけたお母さんの感動物語

更新日:2011/9/12

ママ、南極へ行く!

ハード : PC/iPhone/iPad 発売元 : 主婦の友社
ジャンル: 購入元:電子文庫パブリ
著者名:大越和加 価格:486円

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厚さ1ミリの10分の1もない二枚貝、触っただけでパキンと折れちゃうトゲをもつウニ、腕に並ぶ吸盤が1列しかないタコ…。南極の厚い氷におおわれた海の底には、こんな生き物がいるそうです。なんだかおもしろそうですよね、南極の海の底なんて。

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そんな生き物への興味から、南極行きを決意した女性がいます。「ママ、南極へ行く!」の著者・大越和加さんです。小学1年生の息子と小学4年生の娘を持つ2児の母である大越さんは、日本初の「お母さん南極観測隊員」なのです。「ママ、南極へ行く!」は、そんな大越さんの南極でのエピソードを、家族にまつわるものを中心に紹介した一冊です。
  
第42次の日本南極地域観測隊夏隊のメンバーに選ばれた大越さんは、南極に行くべきか否か悩みます。まだまだお母さんが恋しい年頃の子供が二人もいるのですから、当然です。そんな彼女の南極行きを後押ししてくれたのが、自身も研究者であるご主人。日本を離れていた4ヶ月間、ご主人に家庭のことをまかせっきりにできたのです。(子供たちのおじいちゃんという心強い助っ人もいました)
  
海の生態系を考えるうえで、ほとんど水温の変化がない低温の海底で、生物がどんな風に生きているのかを知ることは、とても大切なことだそうです。海洋無脊椎動物の研究者である大越さんにとっては、胸躍る毎日だったことでしょう。とはいえ、慣れない船の上での、日常であって日常でない生活。そんな日々を過ごす彼女を支えたのは、家族と交わすメールと週1回の電話だったそうです。本書では、メールの文面が随所で紹介されていますが、夫婦愛、子供たちのお母さんを思う気持ち、そしておじいちゃんの大奮闘と、メールの内容から伝わる、家族の絆に心動かされます。
  
船での生活の様子、海の生き物をゲットすべく格闘する大越さんの研究ライフと、家族とのエピソード以外にもおもしろい内容が満載。そして何よりも、地球に生きていることへの感謝の気持ちを再認識させてくれる本書、是非、皆さまにご一読いただきたいです。

南極観測船「しらせ」に乗船した大越さんと家族の別れのシーン。大越さん一家の気持ちを思うと切なくなります

ペンギンのアイコンがかわいらしい本書。ぴょこぴょこ歩く姿がなんとも愛くるしいアデリーペンギンは、南極での観測中、大越さんの毎日の行動の友となってくれたそうです