重松清の新開拓地

小説・エッセイ

2011/9/4

愛妻日記

ハード : PC/iPhone/iPad/Android 発売元 : 講談社
ジャンル:小説・エッセイ 購入元:eBookJapan
著者名:重松清 価格:486円

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重松清といったら「定年ゴジラ」や「ビタミンF」「エイジ」といった作品が印象に残る作家。軽く読めるのになかなかしんみりとさせてくれるはず…。というわけで、この作品を購入。「愛妻日記」の4文字がなんだか昭和時代の作品みたい。しみじみと夫婦の愛を描く…その手法は渡辺淳一先生ばり。夫婦愛の中でもセクシュアルな面をよーくクローズアップしてあります。

ようやく買ったマイホームがアダルトビデオに使われていた部屋と知って、燃えてゆく夫婦を描く「ホワイトルーム」。表題「愛妻日記」では「まじめで小心で面白みのない」夫が妻を「虐めなかったことを」申し訳ないと詫びつつ、倒錯の世界へ。少女時代にいたずらされた妻の記憶が、夫のショートピースの匂いで再燃する「煙が眼にしみる」、立会い出産を経て、お互いの体に嫌悪感を抱くまでになってしまった夫婦の愛の再生を、主人公が高校時代の哲学の先生に宛てた書簡の形で語るという異色作「饗宴」ほか全6編。

平凡な日常生活を切り取った設定はいかにも「重松調」。些細なディティールから深みと取り出す手腕に長けている作家が、いかにもありきたりな風景から、「夫婦単位」で非日常的な性の世界へどっぷりはまってゆく様を描いています。主人公となる「夫婦」の愛が崩れないところが、重松流官能小説なのかも。家族愛を描かせたらぴか一の作家の意外な一面と意外な技量に目からうろこの一冊でした。

目次

「愛妻日記」より。妻への一途な愛を濃厚に描きます…

「童心」より。こういう何気ないフレーズが一気に読者の親近感を誘うのかも

「饗宴」より。恐怖を感じた夫はその後、失われた欲望を回復すべく… (C)重松清/講談社