甘い味、甘い予感に思いを馳せ、ケーキ屋へと集う人々のオムニバス

公開日:2011/11/26

ケーキを買いに

ハード : PC/iPhone/iPad/WindowsPhone/Android 発売元 : 太田出版
ジャンル:コミック 購入元:eBookJapan
著者名:河内遙 価格:500円

※最新の価格はストアでご確認ください。

エクレア、スポンジ、スイートポテト。シュークリームにチェリーパイ。
甘さの奥にひそむ、内なる心を召し上がれ――。
人の感情の奥深さに魅入られた、ルナルーチェのチリとヒロでお送りいたします。

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【チリ】今回ご紹介するのは、『ケーキを買いに』です。

【ヒロ】…………。

【チリ】ってヒロちゃん、しっかり! 固まってる場合じゃないよ!

【ヒロ】ハッ…! す、すみません、チリさん。

【チリ】まあ、ヒロちゃんが驚くのもわかる。キュートな女の子が、色鮮やかに描かれてる表紙だもん。少女漫画かと思っちゃうよね。

【ヒロ】そうなんです。タイトルの印象からも、やわらかな世界観を想像していたので、びっくりしてしまって…。

【チリ】この作品は、まちのケーキ屋さん、ムッシュ・イノダに関わる人々のオムニバス。各話、ムッシュ・イノダのケーキがキーアイテムになってるけど、普段イメージするそれらのケーキとはちょっと違った角度から、物語が展開するのよねー。お気に入りの物語とかある?

【ヒロ】私は第4話の「シュークリーム」が好きです!!

【チリ】イケメン眼鏡のサラリーマン・関根くんの恋物語ねー。

【ヒロ】冒頭からいきなり、想い人であるはずの大関さんをキャベツ化。口を開けばイヤミ、脳内でも暴言三昧の、素直になれない関根くんから目が離せませんでした。この関根くんは、河内遙先生の別作品『関根くんの恋』の主人公でもあり、要チェックですよ!

【チリ】私は第2話の「スポンジ」に衝撃を受けた。クラスの男の子を好きになるのは、小学生でもそう珍しいことじゃないと思うんだけど、小学4年で‘好きな人にもらう痛みの恍惚を知る’となると、話は別! ああ、妄想の波がやってくるー。

【ヒロ】その感情は、繭子ちゃん本人にとっても衝撃的だったんじゃないかと思うんです。だから、20歳を越えた今なお、彼女は猪田くんに、あの時のキョーレツな痛みを求めてやまないんじゃないかなと。

【チリ】あの時の繭子ちゃん、幸せそうな顔してたもんね~。

【ヒロ】ごく日常に居そうな人々の、人には言えない内に秘めた感情を真正面から描いている本作。個々のエピソードが見事に集結するEpilogueも必見です。

【チリ】秘めた思いをお持ちの方も、まだ気づかずにいる方も、ケーキがつなぐ、人々の内なる思いにふれていただきたいと思います。

おいしそうな目次

物語の中心地、懐かしさを感じる、まちのケーキ屋さん

彼の目に映っているモノは、エクレア? 店員? それとも… (C)河内遙/太田出版