臨場感たっぷりの医療ミステリー、「人体工場」の秘密を追え!

小説・エッセイ

更新日:2011/11/28

人体工場

ハード : PC/iPhone/iPad 発売元 : PHP研究所
ジャンル: 購入元:電子文庫パブリ
著者名:仙川環 価格:540円

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いわゆる「医療ミステリー」にカテゴライズされる作品。

いろんな意味で崖っぷちの三流大学留年生・真柴徹は、大学の健康診断で尿に多量の蛋白が出ている、との診断を受ける。担当の美人医師・若松みなみが再検査を行ったところ、腎機能にはまったく異常なし。真柴は、以前高額なアルバイト代を目当てに軽い気持ちで参加してしまった、新薬治験のアルバイトを疑う。

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真柴と一緒に治験に参加した火野美紀とともに真相を追うのだが、ある日彼女は突然行方不明に。美紀の救出に動いた真柴と若松は、そこで恐るべき計画を知る事になる…。

あらすじを書くとこういう感じで、かなりハードな雰囲気が漂う。ところが、主人公の大学生・真柴徹のダメダメな熱血漢ぶりが非常にユーモラス。シリアスな題材にもかかわらず、随所で苦笑いし、さらに共感を覚えてしまうのは、自堕落を絵に描いたような自分の学生時代と重ねて見てしまうからであろう。

しかしこのダメ人間、頑張らなければならないところで頑張るのが僕と違うところ。終盤のたたみ掛け部分は手に汗を握るし、ピンチの場面は心から声援を送ってしまう。ある意味で予想出来うるラストなのだけど、その予定調和ですらが妙に爽快。ヒロインの一人である女医・若松みなみのジャイアンを思わせる傍若無人ぶりも魅力的だし、更に冒頭でヒールだと思われたバイト先の居酒屋店長が、正義の味方となって現れるあたりの小技が実にニクイ。この作品いちばんのポイントは、魅力あふれるキャラクターにある、と見た!

仙川環作品は初。他の作品の書評を読むと、相当シリアスでハードな医療ミステリーを手掛けている作家らしい。最初に読んだモノがこの作品、というのは、当たりなのかハズレなのかの判断が難しいのだが、個人的にこの路線はキライじゃない。

だけど今度はもう一作、次は凄くハードなヤツを読んでみたい。


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