都市GDPは世界一、東京の都市力を再認識。時代はすでに「地域間の均衡ある発展」から「東京一極集中」へ 

東京一極集中が日本を救う

ハード : 発売元 : ディスカヴァー・トゥエンティワン
ジャンル: 購入元:楽天ブックス
著者名:市川宏雄 価格:864円

※最新の価格はストアでご確認ください。

この書籍を読む

 「東京一極集中」大賛成といえば、「地方消滅を加速する」「不公平だ」「東京一人勝ち反対」などの声がきっとあがるでしょう。それでもなお「東京一極集中」をかかげ、東京の都市力をより高めることが、地方を、日本を救う、というのが本書の簡単な論旨です。著者は、東京都都市計画審議会、東京都住宅政策審議会委員などを歴任、専門は大都市政策。本書は、高度成長期から今日まで、およそ50年間の日本の都市政策を概観する、また東京の都市力を再認識する一冊でもあります。

第三次産業の発展が意味すること

 「地域間の均衡ある発展」というフレーズを聞いたことはありませんか。これは都市と地方の格差を是正し、偏りのないバランスのとれた国土の発展を実現するという、高度成長期から長年、日本の国土開発計画における基本的な考えです。本書は、その考えはもう時代にそぐわないと指摘、その理由に産業構造の変化をあげています。高度成長期後半の1970年、日本の産業構造は、第一産業(農業、漁業、林業など)19.3%、第二次産業(製造業、鉱業、建設業など)34.1%、第三次産業(小売、運輸、金融・証券、情報通信、サービスなど)46.6%でした。2010年のそれは、第一次産業4.2%、第二次産業25.2%、第三次産業70.6%と変わり、なかでも第三次産業が大きく発展しています。それがもたらした結果が「東京一極集中」なのです。

 「東京一極集中」と第三次産業はどう関係しているのでしょう。スケールメリット(規模が大きくなることで得られる効果、利益のこと。「規模の経済」)をキーワードに説明されています。スケールメリットは三段階あり、その最終段階「都市化の経済」では、「都市の集積度が高まれば高まるほどサービス産業をはじめとする第三次産業が加速度的に発展」するといいます。都市部への一極集中は、第三次産業発展の結果であり、経済合理性に基づいた必然的な帰結なのです。このように第三次産業の発展と一極集中が顕著な今日、「地域間の均衡ある発展」は望みようもなく、それに代わる新たな国土開発計画のヴィジョンが求められているのです。本書ではそれは「集積と集約を生かした国家の創造」と述べ、その象徴が「東京一極集中」です。

東京オリンピック、リニア新幹線…

 「東京一極集中」を語るとき、どうしても触れなければいけない現実があります。税金です。東京圏(1都3県)、大阪圏(2府2県)、名古屋圏(3県)の三大都市圏での所得税、法人税の全国シェアは約75%(2005年)、全国47都道府県の税収の4分の3を三大都市圏で賄っているという現実です。大都市圏で富の多くは生み出され、そのお金が地方交付金、補助金として地方に回っています。とりわけ稼ぎ頭の東京がお金を稼ぎ、そのお金を地方に分配する仕組みは、現実的なシステムであり、東京と地方は、東京対地方ではなく一心同体の関係にあるのです。

 「地域間の均衡ある発展」から、「東京一極集中」の都市力を活かした国づくりを考える時代へ。東京の人口1300万人。首都圏を加えると3600万人、東京のGDPは約92兆円で世界一(2009年)。GPCI(世界の都市総合力ランキング)は4位(2014年、1位ロンドンは、ロンドン五輪を機に2012年から1位に)です。直下型地震に対する備え、GDPマイナス成長、人口減少と高齢化、インフラの老朽化など課題もいろいろあります。追い風もあります。東京オリンピックはいうまでもなく、そのあとにはリニア新幹線が続きます。東京の都市力アップを期待できるかもしれません。

 地方再生や地方創成が話題になるなかで、「東京一極集中」を積極的に肯定することは、一見時代の逆行のようにも映ります。しかし、本書の首都圏、大都市圏の力を再認識し、その都市力こそが日本を救うという論もまた首肯できます。一極集中という現実に目を背けず、未来へ向けて多くの議論がされることを。本書の果敢な提言へ感謝!


目次から

第三次産業の発展と一極集中は経済的必然

東京と地方の関係は、東京対地方ではなく、東京・地方の一体化

都市力の一つの指針、東京都のGDPは世界一



この記事の画像

  • 003
  • 002
  • 001
  • 004

TOPICS

最新記事

もっと読む

人気記事ランキング

ダ・ヴィンチ×トレインチャンネル

特集

ダ・ヴィンチニュースの最新情報をチェック!

ページの先頭へ