ちょっぴりダークなファンタジー?『盛り合わせガール』でトキメキと冷や汗を!

ダークコメディ

2015/12/16

盛り合わせガール 鈴木小波短編集

ハード : 発売元 : 少年画報社
ジャンル: 購入元:楽天ブックス
著者名:鈴木小波 価格:621円

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 『盛り合わせガール』というタイトルから、果たしてどんな内容なのだろう、と思う。可愛らしい絵柄と「コメディ」と銘打っているところから、なんとなくファンタジー要素が強いのかしらと思い読んでみる。

……想像以上にダークであった。おとぎ話のような世界観の中で、時折背筋が凍るほどに理不尽で残酷な描写が差し込まれる。ギャグに笑い、可愛い女の子たちにときめき、理不尽な描写に胸が締め付けられる。最後は、なんとも奇妙な読後感の残る漫画である。

 その中でも、特にダークな部分が際立つ物語『ライターゴースト』のあらすじをちょっとご紹介。主人公の川辺たんぽぽは、想いを寄せる男の子にラブレターを書くがなかなか文面がまとまらない。思わず「誰でもいいから小説家が降臨して代わりに書いて!」と叫んだら、小説家荒川乱歩の霊が座っていたソファーに降臨した。……という、なんとも面白いストーリー。ソファは彼女の想いを汲み取りながら、ゴーストライターとして手紙の文面を書かせているうちに、ある恐ろしい真実に気付く。思わずゾッとしてしまった。読んだ後に、たらりと冷や汗が落ちるような物語だ。

 ちなみに、どの物語も短いながら巧妙に伏線が張ってあり、オチも素晴らしい。読後感はスカッとしていて、この後もっと続きを読みたくなるような、ちょっと物足りなくなってしまうような漫画だ。『ライターゴースト』も、続きを読みたくなるという点では同じかもしれない。しかし、どちらかといえば、それは「怖いものみたさ」のような感情である。どのような事実が隠されているかは、ぜひ本作を読んで確かめてほしい。

 オードブルを盛り合わせるように、多種多様な世界観の物語が詰め込まれた短編集である。7人の白雪姫と70人の小人、ある少女の声だけ聞こえない少年、人の感情をアメに変えることのできる魔法少女、呪いによって舌だけになってしまった探偵事務所の所長……一見すると奇抜な設定ばかりに思えるが、実は内容はとても誠実な構成。残酷な世界でも可愛い女の子が強く生きる姿は見ものである。


ラブレターがなかなか書けない主人公(『ライターゴースト』より)

主人公は同級生に想いを寄せていた(『ライターゴースト』より)

ある真実を目の前にしてもひたむきに想い続ける主人公…(『ライターゴースト』より)

大人の女性に変身してしまう娘と子供に変身してしまう父の物語(『魔法少女ビッチビッチ』)

声を聞くことができない少女といじめられっ子の少年の物語(『君の声が聞こえない』より)