「手塚治虫マガジン -Shop-」“神様”の巨大でコンパクトな図書館

公開日:2011/12/7

手塚治虫マガジン-Shop-

ハード : 発売元 : Yappa
ジャンル: 購入元:AppStore
著者名: 価格:0円

※最新の価格はストアでご確認ください。

iPhone/iPad向けアプリ、「手塚治虫マガジン-Shop-」は、毎週無料配信される「週刊手塚治虫マガジン」の閲覧と、過去の手塚作品が電子書籍版で購入出来るお得なアプリ。とにかく、いったい何作品あるのか解らない膨大な数の手塚作品。紙の本で揃えるのは到底無理。そう考えると、電子書籍で入手可能な手塚作品、というのは、かなり価値のあることなのかもしれない。

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まずは無料の「週刊手塚治虫マガジン」から。
週イチの配信は2012年3月まで続くことになっており、現在までで137号(!)分を発行。過去作品から毎週3エピソード程度がセレクトされ、読み応えもバッチリ。短編を読んで気に入れば、Shop機能で本編をアドオンとして購入すれば良い。読み物としてもカタログとしてもかなり有用。今まで手塚作品に触れたことが無い、という奇特(?)な方は、ぜひ一度コレを読んでみるべし! 発行日が楽しみになるのこと請け合いです。

もちろんリアルタイムに手塚治虫を体験している僕は、”マガジン”だけでは満足出来ず。試しに有料のアドオンを2冊ほど購入してみた。

「ザ・クレーター 1巻」
1969年から70年にかけて、月2回発売だった頃の「少年チャンピオン」に連載されていた連作短編形式のミステリー。雰囲気としては海外テレビドラマの「トワイライトゾーン」、国内では同じくテレビドラマの「ウルトラQ」(ただし怪獣が出ない回)に近い。しかし、ストーリーの作り込みの深さはさすがに半端ではなく、随所で卓越したアイデアと膨大な知識が感じられる。これが40年以上前の作品だ、という事実に驚愕。

ちなみに、僕と手塚作品の出会いはコレ。さすがにリアルタイムで連載は読めていないのだけど、こういう作品と簡単に再会出来るのがこのシステム最大のアドバンテージ。残り2巻も普通に購入してしまいそう。

「奇子 1巻」
この作品は現在Shop内でのトップアドオン。つまり、いちばん売れている商品ということ。こちらも古い作品で、初出は今なお青年マンガ誌としてリリースの続いている「ビッグコミック」。1972年から73年にかけて連載されていた。

手塚治虫が児童向けマンガの大家であるのは揺るぎない事実なのだけど、こういう大人向けに書かれた作品のクオリティがまた高い。終戦直後のあるいびつな家族を描いた作品で、サイコテイストに溢れる展開。近親相姦や幼児監禁、そしておそらく現在では表記不可能な「知恵お○れ」といった表現など、かなりの毒々しさを発揮。アトムやサファイアの世界とは、また一味違った手塚ワールドが堪能出来る。トップアドオンなのも納得である。

…とにかく、手塚治虫の懐の深さは本当に計り知れない。
「リボンの騎士」から「アドルフに告ぐ」まで、あまりにも幅の広いジャンルを網羅しているし、作品によっては60年以上前に描かれたモノなのにもかかわらず、どの作品からもあまり古さを感じない。仮に手塚治虫を知らない現代のマンガ好きが読んでも、充分納得しうるクオリティを保ち続けているからこそ、今を以て”マンガの神様”的な評価を受けているんだなぁ、と。

だから、手塚ライブラリの電子書籍化は本当に歓迎なのだけど、難点が一つだけ。
画像の取り込みに関してはもう少し高品質を保って欲しい。解像度の問題だと思うのだけど、iPadの横モードで若干線が潰れて見えてしまうのはいただけない。再ダウンロードの機能もあるから、ぜひアップデート対応を。このあと、きっと何冊も買ってしまうと思うので。

オープニング画面はお馴染みのキャラクターが多数登場!

ショップ画面のライブラリはあまりにも膨大、びっくりするくらいスクロールに時間がかかる(^^;)

購入画面のインターフェースは超シンプルで、非常に解りやすい