これが小説家遠藤周作の本当の姿

小説・エッセイ

公開日:2011/12/9

ぐうたら人間学

ハード : PC/iPhone/iPad/Android 発売元 : 講談社
ジャンル:小説・エッセイ 購入元:eBookJapan
著者名:遠藤周作 価格:540円

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編集者や彼のファン、有名人から歴史上の人物に至るまで、作家遠藤周作の周りにいるおかしな人々の話を集めたエッセイ。彼の小説はかなり好きで読んでいます。『沈黙』『海と毒薬』『深い河』『私が棄てた女』etc…。どの小説も宗教と人との係わり合いや人間愛について描かれた素晴らしい作品ばかりです。未読な方はぜひ。

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そんな彼の小説のファンの私ですが、実はエッセイはどれも未読でした。元々エッセイの類をあまり読まないし。なのでこの度この『ぐうたら人間学』を読んで、彼の本当の姿を知ってちょっと驚いてしまいました。噂では知っていたけれど、想像以上のギャップです。

まずイタズラと下ネタが大好きな遠藤先生。司馬遼太郎先生とお話してるかと思いきや一般人のファンとも気軽に交流をするし(家にファンが訪ねてくるって時代を感じる)、本屋では自分の本を買っている人をチェックしたり、癌ノイローゼになってアスファルトの道を避け始めちゃったり(そういう本を読んだそうです)。これを読み終わって思ったことは、遠藤周作ってなんて愛らしいんだ!! ということ。そのユーモア溢れる彼の人柄にますますファンになってしまいました。彼の周りにいるおもしろい人の話を集めた本ですが、そのおもしろい人を機から見て「ククク」と笑っている彼の姿が目に浮かび、そしてそれがまたかわいらしい。

にしても小説とのギャップが激しいなぁと思いながら読んでいたら、「三年に一度くらいの割合で堅苦しい小説を書くので、自分が人生に悩みぬいたようなイメージを抱かれると思うとたまらなく嫌」とあって、彼もそこはきちんと自覚していて、しかも嫌なんだ! と笑ってしまいました。私も人生に達観された方なんだと思っていましたよ~。でもこの二面性が彼のファンをさらに増やしている要因ですよね、きっと。

ちなみに先日友達が長崎にある遠藤周作記念館に行っておみやげにストラップを買ってきてくれて、もうそのストラップを神棚に飾りたい勢いで大事に机の上に飾っているのですが(神棚がないので)、なんだか別に携帯につけてもいいのかなと思ったりして。そんな親しみ感満載の声に出して笑えるエッセイです。

司馬遼太郎さんとお話してたり

時にはファンともお話したり

美しき兄弟愛(?)もあったり

本人曰く周作じゃなくて臭作の方が合っているらしい (C)Junko Endo 1971,1972