正直、怖いです。気丈な方にお勧め

更新日:2011/12/19

極限状態の心理学

ハード : PC/iPhone/iPad/WindowsPhone/Android 発売元 : イースト・プレス
ジャンル:趣味・実用・カルチャー 購入元:eBookJapan
著者名:知的発見!探検隊 価格:500円

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「極限状態」を経験したことがおありですか? と聞かれて、しばらく考えてしまう。
期末試験の前日に勉強してたのに気が付いたら居眠りしていて、起きたら朝だった、とか、最初のデートでトイレにいったら、スカートをパンツに挟んだまま出てきてしまったとか、締め切り直前なのにまだ一字も書けてないとか、公園で男にとび蹴りされたとか、そういうの、誰にでもあると思いますが、これはお言葉ながら「極限」ではありません。確かに冷や汗も出るし、死んでしまいたいような気持ちになる出来事は日常的に頻繁に起こります。

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戦争や遭難、大災害にあったときに、自分の意思を超越して陥る「極限状態」。そのとき自分がどんな行動をとるのかは、未知数。最初のこの本を開いたのは、深夜だったのですが、読んでいるうちに怖くなったのでやめました。この本に限っては、午前中の読書をお勧めします。

本の構成としては、少々荒削りな感は否めませんが、事件、事故、災害、様々なシチュエーションでの「極限状態」例をよく集めています。事例ひとつひとつについて説明される「極限状態の心理学」は、専門家の説明とは程遠くも、読者の興味を刺激するには十分な内容。パニック心理の説明、パニックに陥らないための予防法など、少し気持ちが前向きになる項目もありますが、あまりに悲惨な事例、説明不可能な人間の行動の羅列に私は少々参ってしまいました。

戦争、災害、集団自殺、親殺し、幼児虐待、ストーカー行為…極限状態に陥るきっかけが、どこの誰にも、どんなときにもあるというメッセージが明確に伝わってきます。だからこそなおさら、怖い。本の切り口は、扇情的であるようで、でも事実。こういう本を読んで、後味を悪くしないためには、「では、自分だったらどうするか?」ということをきちんと考え直すしかないのでしょう。

人間の感情は「喜怒哀楽」の4つの混ぜ合わせではなく、恐怖というのも非常に重要かつ本能的な要素。恐怖に面したときに、動物的本能を発揮して生き残ることもできれば、人間の意志で尊厳のある行動をとることで生き延びることもできる。それとはまったく逆に、動物の防衛本能から相手を殺傷できることもあれば、自らを死へ導く行動もとれる。まったくもって「怖い」という表現しか見当たらない「極限状態」。いつかどこかで会うかもわからない状況をイメージトレーニングし、自らの意思を再確認するにはよいきっかけとなる1冊でしょう。

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これは「極限」とはちょっと違うかもしれないけど、納得できるなぁ

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