テレビでは決して見ることができない蛭子さんの真の姿がここに!

更新日:2011/12/22

蛭子能収コレクション 地獄編 地獄を見た男 (1)

ハード : PC/iPhone/iPad/WindowsPhone/Android 発売元 : マガジン・ファイブ
ジャンル:コミック 購入元:eBookJapan
著者名:蛭子能収 価格:400円

※最新の価格はストアでご確認ください。

最近、コマーシャルでまたよく顔を見かけるようになった蛭子能収さん。あの蛭子さんがマンガ家だということは知っていても、実際に作品を読んだことがあるという人は少ないのでは? それは勿体ない! そんな方はぜひこの『蛭子能収コレクション 地獄を見た男』を読んでみてください。ショッキングでシュール。超絶的にわけのわからない世界は、きっとあなたの知らない蛭子さんを見せてくれるはずです。

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一例として、冒頭の作品「地獄のサラリーマン」を紹介しましょう。
ある平凡なサラリーマンが会社に行こうとすると、息子の一郎が一緒についていきたいという。仕方なく2人で駅に向かうと、そこでは大混乱が起きていました。どうやら西武鉄道が近鉄電車に乗っ取られようとしているらしい(意味不明)。一郎を乗せた近鉄電車は、柵を突きやぶると、レールを無視して、住宅街のほうへと走り去ってしまいます。

一郎とはぐれた主人公は会社へ。同僚たちは朝から麻雀を打っています。窓の外ではなぜか道路が競艇レース場になっていて、コンクリートの上をボートが進んでゆく。コンクリートの破片がボートレーサーの顔にあたって、血が吹き出る。レーサーが叫ぶ。「誰か血を拭いてくれー!!」

いろいろあって一郎と再会することができた主人公は、娘が死んだと聞いて、エレベーターで会社を出ようとしますが、一郎が押したボタンはなんと「地獄行き」のボタン! 2人を乗せたエレベーターはひたすら地の底へと突き進んでいって…。

と、まあ紹介してみたところで、このマンガの面白さの一割も伝わりません。蛭子作品の魅力は、画力とセリフが醸し出す異様なテンションと切迫感。そして悪夢にも似たストーリーの不条理さです。起承転結のルールなんか知らないよ、とばかりに唐突に事件が起こって、唐突に収束する面白さ。そのギョッとするような世界観は、一度読んだら忘れられません。

好き嫌いが極端に分かれそうな作風ですが、不条理なもの、カルトなものが好きなら絶対にはまるはず。収録作のセレクションも良い。自信をもってオススメです。

「地獄のサラリーマン」扉絵。ここからもう「何か」出てます

レールを突きやぶって近鉄電車が走り去る

会社の窓の外はボートレース場。なぜ?

親子が乗ったエレベーターは地獄行き!

目次ページより。全7編、どれも傑作だ (C)蛭子能収/マガジン・ファイブ