自分に縛られ、何かを突破したいときに読む本
公開日:2011/12/30
生田はとてもマイペースな人間です。自由ともいうのかな?
おのれの欲望に忠実というか…思い立ったが吉日って感じで、いつも感情優先。気持ちのままに動けないことは私にとってストレスなのです。
そんな生田は今回読んだ本の冒頭で、思わず拳を握りましたよ。「私だったらこんなの絶対嫌っ!!」ってね。
何がそんなに嫌だったかってこの本に登場するカップルは、全てをあらかじめ決めてるんですよ。月曜と金曜日に何時から何時まで彼から電話をして、水曜日には何時から何時まで彼女から電話をする。デートは週末に1回、金曜日の電話のときに内容を決める。ってな感じでね。
もー、生田からするとびっくりですよ!
えっ? じゃあそれ以外にどうしても話したいことがあったときはどうするのさ。どうしても会いたいなって思ったときは? いや、そもそも人生何があるかわからないから面白いんであって全部決めちゃってたらつまらないでしょうよ!
なんて、鼻息を荒くして読み始めたわけですが、読みすすめていくうちになんとなくこの提案をした彼女の気持ちがわかってきて物語に引き込まれていきました。変なカップルと思っていたけれど、決してそうではなく元々は普通のカップルと同じだったこと。導入部分が納得行かなかった分、腑に落ちた後はより深く感情移入していきました。
そして彼の方が変わっていくきっかけとなる人物“木戸さん”。このキャラクターの魅力は、この本について語るのに欠かせないと思います。なんだか横暴で、適当で、でも妙に説得力のあるこの人。本の中の人物がこの人に惹かれていくのと同様に、読んでいる側もこの人の魅力にいつの間にか惹き付けられていくこと間違いなしです。
私としてはこのストーリー設定で、もう少し長編だったらどうだったんだろうと短編で描かれていなかった部分がすごく読みたくなりました。何も決めない囚われない自由もあれば、全て決まっているからこその自由もある。新しい価値観に出逢えた作品でした。
私が憤慨した冒頭
木戸さんの登場シーン
こういうところが魅力的