仕事が輝く。自分が高まる。ビジネス界の哲人と深く観じる「目に見えない報酬」
公開日:2012/1/13
「なぜ、そんなに一生懸命、働いているのですか」
この問いに、あなたはどう答えますか?
「給料が高いから?」。それとも「地位が上がるから?」。
その答え次第で、あなたの職業人生の明暗が分かれる、としたらどうでしょう。
給与明細や他者評価を見るたびに、心を上げ下げしてしまう現代人。
そんな外的なモチベーションしか見つめられない“心の姿勢”を、
ビジネス界の哲人・田坂さんは、香りある説法で正してくれます。
仕事は「苦役」で、報酬は「苦役の対価」。
そこまで被害者に考えて働く人は、少ないかもしれません。
しかし、
「これだけ成果を上げたのに、こんな薄給や評価ではやっていられない!」。
「市場価値の高いスキルを獲得して、もっと高給の仕事に転職してやる!」。
私たちは油断すると、そんな風に考えてしまいがちではないでしょうか?
対外的な報酬を求めるあまり、
心を込めて残したはずの仕事さえも「苦々しい役務」だったと味わえなくなる。
腕を磨いて高めたはずの能力さえも「価値交換の道具」と即物的に捉えてしまう。
「報酬への姿勢」と「仕事への姿勢」は、鏡像的に私たちをかく乱させるのです。
「朕、即位以来、寺を造り、経を写し、
僧を渡すこと挙げて記すべからず、何の功徳か有る」
達磨応えて曰く「無功徳」(むくどく)
仏教への篤信者、武帝の問いに対し、達磨は厳しく諭しました。
見返りを求めて行う打算的善行(を求める心)は真の善行ではない。
そんな他者からの「目に見える果報やご利益」を欲する心は、
古今東西、凡人聖人を問わず、私たちに宿っている性ともいえます。
では「報酬をどう見つめるか」?
一生懸命に仕事をして腕を磨き、「能力」が身につける。
自身の作品として仲間と「良き仕事」「良き作品」を残す。
さらに、「心の高める喜び」と得て、「人間的な成長」を遂げられる。
これこそが最高の報酬である、と田坂さんは、静かに諭します。
「目に見えない報酬を観よ」。
目に見える功徳(ご利益)のみにからめとられがちな現代人が、
自らの職業人生を静かに振り返り、
日々の仕事に心を込めて取り組むきっかけになる。
ビジネスパーソン必読の書です。
「目に見える報酬」と「目に見えない報酬」。そして、 「結果として得られる報酬」と「自ら求めて得るべき報酬」。この差をを深く見つめていないビジネスパーソンは、一流のプロフェッショナルの高みには決して到達できない。自身の内に潜む広大な意識(無意識とも言う)の潜在能力を内観しなければ、到達できない頂きがある
いかにして師を得るか。いかにして共感を得るか。その答えは、まず自らが師を仰ぐ(私淑する)、自らがその人に共感することから始まるのだ。つねにボールはこちらにある
呼吸、出会い、共感、縁、志。。。目に見えないものこそ、世代を超え、国境を超え、時代を超えて、永く心に残り引き継がれるもの。例えば、永く引き継がれたものに面影がある。その影が響くと書いて「影響」と読むし、その影へ近づこうと心(魂)が向かうことを「影向」と書く。「お影様」という目に見えない力を、私たちは、日常的に感じているはずなのだ。決して失わわれぬ報酬は、やはり日向(ひなた)の影に隠されている