「鳥葬」食べやすいように遺体を切り刻む男達…圧倒的な筆致で描かれた短編集

小説・エッセイ

公開日:2012/1/15

鳥葬の山

ハード : PC/iPhone/iPad/WindowsPhone/Android 発売元 : 文藝春秋
ジャンル:小説・エッセイ 購入元:eBookJapan
著者名:夢枕獏 価格:368円

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みなさん、お早うございますコンニチハ今晩は。チベットに心惹かれる中國卓郎です。
何故だか分かりませんが、小学校高学年の頃からチベットに郷愁を感じております。これはきっと前世とか輪廻とかそんなヤツですよ多分。

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と、それはともかく本書「鳥葬の山」は八つの話からなる短編集です。非常にバラエティ豊かな構成になっており各話ごとにテイストがガラリと変わります。ハイこれぞ短編集の醍醐味ってヤツです! しかも本書はなかなかに自分好みな作品が揃っているアタリな短編集でした。全体をひっくるめて作品の雰囲気をお伝えしようとすると、スゲー大雑把になっちゃうのを承知した上であえて大胆に言わせていただくならば「世にもアメージング奇妙な物語ゾーン」って感じ? …うわぁ雑っ! 色々な意味で雑すぎるよオッカネェ! って我ながら思いました。しかし本書はワタクシと違って「出来る子」です!

突然SFサイキックバトルが始まる「超高層ハンティング」、なんだか解らないけどわかった気分を味わえる「羊の宇宙」、艶かしくも刹那苦しい「あやかし」などなど秀逸な作品が目白押しな中、やはり筆頭は表題「鳥葬の山」でしょう! これ、チベットで鳥葬を見た日本人旅行者の話です。鳥葬ってのは「遺体を鳥に食べてさせて天へと運んでもらう」ってな意味合いがある葬儀方法なのですがいろいろと下準備が大変でして…と言うのは遺体をですね? 食べごろサイズに斬り刻んで…って書くと野蛮で猟奇的に感じちゃいますけどそれはむしろ真逆で、厳粛にして崇高な儀式なんじゃないかと僕は思います。本書ではその儀式の様子が、力強く説得力ある描写で臨場感タップリに書き記されてます。

文章ってのは凄まじいパワーを持っているんだなと圧倒されつつも、その壮絶で圧巻の描写からはどこか美しさに似たモノを感じました。しかしチベットに心惹かれ鳥葬を美しいと思っていたとしても「立ち会う」勇気はゼロであります。

なんともシュールな「頭の中の湿った土」の冒頭

短編集とスマホの相性は抜群! だからもっとAndroidにも対応して下さいってば! (C)夢枕獏/文藝春秋