文字だけでも物語の情景が浮かんでくる、大人のための童話
更新日:2012/1/31
入院しているヤンチャとの約束を果たすため、ワタルとハム太とノリオのタイムマシン作りが始まる…「約束」。最愛の夫と赤ちゃんをティラノサウルスに食べられた草食のお母さんザウルスが面倒をみる決意したのは、ティラノサウルスの卵だった…「さいごの恐竜ティラン I’ll stay with you」。仲間たちのいる南の海を目指して、お母さんくじらとぼうやの長い旅が始まる…「いのちのうた」。
まずタイトルが気になりました。絵のない絵本って、一体どんなものなのだろう? 絵本からそのまま絵が抜けた感じなのかな…? そんな疑問を感じながら、この作品を読みました。
タイトルの通り、この作品には絵は一切出てきません。だけど読んでいるうちに、頭の中に物語の情景が次々と浮かんできました。絵がないのに、絵本を読んでいるような感覚になったんです。なるほど、だから絵のない絵本なのか…としみじみ思いました。
ティランがお母さんザウルスにむしゃぶりついた恐竜たちに立ち向かう姿や、南の果てをめざして必死で泳いでいくお母さんくじらとぼうやの姿など、文字を読んでいるだけで物語の登場人物たちの姿が鮮やかに頭の中に浮かんできて、恥ずかしながら気がついたら号泣でした。親子の愛が描かれていると、どうしても涙腺が緩くなってしまうんですよね…。外出先で読まなくて本当によかったです(笑)。
絵本というと、どうしても子供向けのものを想像してしまいますが、この作品はぜひ大人の方へ読んでいただきたいと思いました。
目次です
お母さんくじらの気持ちが心に切なく響いてきます…「いのちのうた」
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