白黒つけ難く、奥深い、囲碁の世界の名言集

2012/1/24

新版 囲碁名言集

ハード : PC/iPhone/iPad/WindowsPhone/Android 発売元 : インタープレイ
ジャンル:教養・人文・歴史 購入元:eBookJapan
著者名:榊山潤 価格:648円

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歴史小説家であり、文壇本因坊という文壇囲碁のタイトルホルダーでもある榊山潤の著。他の著では「囲碁談義」「武将と囲碁」「日中囲碁盛衰史」などがある。本書では「理詰めより重詰め」「勘定あって銭足らず」「打つ前に一呼吸」「大局に目をくばれ」「長生は生きでも死にでもない」など名言、金言が章のタイトルとなり、著者の囲碁に対する考え、経験を図と一緒に語っている。名言は「故事ことわざ事典」「故事金言小事典」を参考にしているという。

例えば、「マグサ場には手を出すな」の章。
マグサは馬草と書き、本来は株という意味である。牛馬の飼料にする草の生えている土地がマグサ場という。盤面にもマグサ場と呼ばれる場所がある。いわゆる戦略上の荒れた場所である。いかに努力しても、豊かな収穫の見込みのない、痩せた土地に等しい。故に専門家はマグサ場には手を出すなといわれている。

次に「犬が西向きゃ、尾は東」。
碁の場合、クロウト同士ではしごく当然なことでも、シロウトにはおいそれと通じない場合がある。クロウトの常識がシロウトには常識になってないことは多々ある。そういう専門家の常識が語られている。

「憤りは破滅のもと」
江戸時代の囲碁棋士桑原秀策が築いた囲碁の教訓があり、その第一に、憤りは勝ちを得ず、という言葉がある。盤面ではあまり欲を出してはいけないという意味である。盤面の囲碁はじゅうぶん勝っているのに、急に変なヨセを試みる。ヨセとは終盤で双方の地が大まかに確定し、細かい境界線を決定する局面のこと。それが憤りである。憤りが加われば、勝負の行方は決まったも同じである。

「サルスベリ九目」
木からすべり落ちる猿を意味するものではなく、空気を滑るように、一本の木から次の木に飛び移る猿の姿勢そのもののように、敵地に滑り込む戦略を言う。実践的な攻め方も詳細に語られている。

囲碁ファンの方にはぜひ読んでほしい一冊である。

本書に載っている囲碁の図

金言から発する戦略

様々な戦略を解説

丁寧な解説だと感じる (C)Sakakiyama,Jun 1968