鋭い観察から描き出される、食べ物にまつわるあんな話やこんな話
更新日:2012/1/24
のっけからこんなことを言うのもなんだが、俺の目は筋金入りの節穴である。道を歩けば目的地の建物を見逃し、道で友達に会っても3回に1回は気づかずに素通りし、食事中にはよく確認しないで唐辛子を口に放り込んで悶絶する。
そんな俺なので、観察力とか目の付けどころが鋭い人というのは無条件に尊敬してしまう。まして文章がむやみに上手く、節穴アイの持ち主が決して気づかないような物の見方をおもしろく伝えてくれる人ならなおさらだ。で、そんな人といえば俺がまず思い出すのは、なんといっても東海林さだお。そう、週刊朝日で長年食べ物エッセイを連載している、あの人だ。
なにしろ、この人のエッセイときたらどれもこれも、よくこんなこと思いつくなあ! という「独自の視点」や「鋭い観察力」にあふれている。例えば、この『東海林さだおの大宴会』に収録されているエッセイを例にとってみると、駅弁大会に行っては参加者の生態をつぶさにリアルに描き出し、ハンペンを前にすればその孤独と生まれ持った悲劇性に気付いて涙し、がんもどきを見れば厚揚げ、油揚げとの兄弟関係を事細かに暴き出す。こんなこと、俺じゃ絶対に見えてこないし気づきもしない。たぶん、駅弁もハンペンもがんもどきも、ボケーっと食べてそれで終了だ。
しかも、東海林さんの場合観察するだけじゃなく、ミソチャーハンとかツユたっぷりの冷やし中華などという新メニュー開発にも挑んだりする。ここまでやられたらもう降参するしかない。…降参してどうするのかって? そりゃもう、このシリーズの新刊がでないかと、本屋さんに行くたびにチェックするに決まってるじゃないですか。俺の節穴アイでも、こればっかりは見逃せないぜ!
駅弁大会会場の様子を臨場感たっぷりに描く
あー! あるある! 焼肉屋だとそうなっちゃう!
こちらは、店内滞在時間で料金が決まるバイキングに行ったお話
食べ物への「ハマり」をタイプ別に分類する話。いろいろあるなあ…
挿絵も、少し小さめだけどちゃんと載ってます