「生きる」という力と勇気を与えてくれる、大人の絵本

大野一興

2012/1/30

山古志村のマリと三匹の子犬/文藝春秋

ハード : iPhone/iPad 発売元 : Bungeishunju Ltd.
ジャンル: 購入元:AppStore
著者名: 価格:1,000円

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昨年の東北・関東大震災では多くの犠牲者が出てしまいました。
日本は地震が起こる国です。他にも阪神・淡路大震災、そして中越地震。

この物語は新潟・中越地震で起きた本当の物語です。

救出に人命優先は仕方のないことです。飼っていた犬や猫は崩れた家に残されてしまいます。昨年の地震でも残されたペットが沢山いました。この物語の主人公は「マリ」という犬です。新潟の山古志村で残された犬のマリが懸命に子犬を守り、生き抜いたお話です。

この物語の1ページ目はこんな言葉でスタートします。

世の中におきるいろいろなことは
たった二種類しかないそうです。

ひとつは「どうにもならないこと」
もうひとつは「どうにかなること」

マリは、その二つについて
わたしたちに教えてくれました。

地震という天災は「どうにもならないこと」だと思います。
でも、その中でどうにかなることはある。今、できることをする。それはきっと誰にでも可能なことです。

マリが命懸けで子犬を守る姿、飼い主を待つ姿は涙なくして読めません。犬の鳴き声もその場面にあっていて、悲しそうな声、怯えている声、喜んでいる声が胸を打ちます。

地震の場面のイラストでは、山ぐずれや木々のざわめきが動画になっているなど電子書籍ならではの臨場感が、ますますマリと子犬の身を案じて、自分が飼い主になったような気持ちで読み進めてしまいました。

家に閉じ込められたおじいさんを気遣い、救助がくるまで何度もおじいさんと子犬の場所を往復する姿には生きるという強い思いが犬から伝わってきます。途中、犬が残され飼い主はヘリコプターで避難する場面では、ストーリーにあった「生きていく」という歌が流れます。その曲もまたすごく良いのです。

絵本ですがこれは大人が読む絵本です。全66ページの感動ストーリーをぜひ読んでください。

絵本の1ページ。イラストが場面により動いたり、犬の鳴き声などが聞けます

実物のマリの写真がアルバムで見れます。救助直後のマリや現在のマリです