発達障害の子どもの「友達づくり」、親はどうサポートすればいい?

出産・子育て

公開日:2017/6/15

『発達障害の子の「友達づくり」トレーニング』(監修:有光興記/講談社)

「友達」の存在は、子どもにとって不可欠なもの。けれどASD、ADHD、LDなど、発達障害がある子にとって、「友達づくり」は簡単なことではありません。「よくケンカする」「孤立している」「イジメられている」……様々なことで、不安に感じている親御さんも多いのではないでしょうか。

『発達障害の子の「友達づくり」トレーニング』(監修:有光興記/講談社)は、発達障害への理解を深めるとともに、我が子の「友達づくり」を助けるためのサポート法が紹介されている図解いっぱいの実用書です。

 対象は小学生から高校生くらいまでの子どもに向けて。「友達付き合いのコツ」を実践的に解説しています。
 個人差はありますが、小学4年生くらいになると、子どもたちの交友関係は変化し、幼児期の性別や好みも関係なく、「みんな仲良し」の環境から「気の合う相手やグループ」と「深く狭い」コミュニティを作るようになります。
 その頃合いに、発達障害ゆえの「トラブル」を頻繁に起こしていては、遊び相手が減り、孤立してしまう可能性があります。だからこそ、小学校の高学年くらいから、「友達づくり」をサポートする必要があるのです。

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 本書ではASD、ADHD、LD、それぞれの特徴と、発達障害の子の友達付き合いが「うまくいかない事例」を紹介しています。
 例えば、ASDのCさん(小学6年生の女の子)は、相手の反応を見ず、一方的に話し掛けたり、ずっと自分の話ばかりしてしまうために、「空気が読めない」、「うざい」と思われ、孤立してしまいました。その上、自分は悪くないと思っているCさんは、自分を疎外した友達の悪口をSNSに書き込み、トラブルが拡大してしまった……という事案があったそうです。

 こういった場合は、「会話のズレを広げない」ことが大切(ズレてしまうのは仕方がない)。
 そのために、親子で「話題選びを練習する」ことが一つ。まずは子どもの話し方をチェックしましょう。「親子で雑談したり、親が子どもに友達とどんな話をしたか聞いたり」して、「誰に話したの?」「どんな返事だった?」といった質問をすると、会話の様子が分かるようになります。
 話がズレていると感じたら、「会話に適した話題とそうではない話題を、子どもに具体的に教える」、「相手によって苦手な話題がある」ことも一緒に説明し、「会話の流れ」を意識させる練習も。(相手の話を断ち切っている場合がある)。「いまなにを話しているのか、わかる?」といった問いかけがいいそうです。
 また、言葉選びの苦手な子もいるので、周囲の友達が使っているような、その場に適した「言い方」も教えましょう。教えた言葉を実際に使う「経験」ができればベスト。具体的には「あいさつ」を基本として、「〇〇くんはどう思う?」といった相手に関心を向ける言葉がいいそうです。

「会話よりまず、親しい友人がいない」という親御さんもご安心を。本書では「友達を作る」というはじめの一歩から、順を追って、丁寧に解説しています。
 また「そういうサポートをいつまで続けるの?」と不安に感じることもあるでしょう。そういった悩みの答えや発達障害のある子の親としての心構えも載っているので、心強い味方になると思います。

「友達がいない」のは本人にとってもつらいことです。また「友達付き合い」は子どもの内だけの問題ではなく、社会性を身に付けるためにも必要なこと。将来的に見て、とても重要なのです。自分のためにも、我が子のためにも、一人で悩んでいるなら、ぜひ本書を。

文=雨野裾