“脱”糖質の流れが止まらない! 炭水化物を抜くだけ? 正しい「糖質制限」とは?

ライフスタイル

2017/7/6

『江部康二の糖質制限革命 医療、健康、食、そして社会のパラダイムシフト』(江部康二/東洋経済新報社)

 ここ数年、健康やダイエットなど“身体”にまつわる対策として、糖質制限という言葉をよく見聞きする。すでに、実践している人たちも少なくないだろうが、その最新事情を伝える『江部康二の糖質制限革命 医療、健康、食、そして社会のパラダイムシフト』(江部康二/東洋経済新報社)が刊行された。

 本書は、医療の世界で糖質制限の研究と普及に務めてきた著者が、糖尿病や生活習慣病などの対策を主眼としてまとめ上げた一冊。その内容を元にいま一度、糖質制限のある生活を見つめ直してみたい。

■炭水化物を抜くだけ? 本来は「たんぱく質と脂質を増やす」のも鍵

 糖質制限といえば、真っ先に思い浮かぶのはご飯やパン、麺類などのいわゆる“炭水化物”を抜く食習慣だ。しかし、本来の意味は「糖質の多い食品を抜き、その分だけたんぱく質と脂質を増やす」ことだと著者はいう。

 特に大切なのは「たんぱく質と脂質を増やす」という部分で、これを心がけなければ人間が生きる上で必要なカロリー不足を引き起こしかねない。

 また、本書を読むとよくいわれる“ダイエット”の効果は、糖質制限のあくまでも副次的な作用であることがわかる。本来、糖質制限の主な目的は食後の血糖値上昇を抑えるためのものだ。糖尿病はもちろん、生活習慣病を予防する意味でも「重大な意味を持ちます」と著者は主張する。

 本書の研究結果によれば、正常な人であってもふつうに主食をとった場合に食後1時間の血糖値が「140〜180mg/dl」まで上がることがあるという。この数値は「血管を傷つける恐れがあるレベル血糖値」だというが、このような身体の変化を正常に保つのが本来の糖質制限の目的だ。

 著者の主張では、糖質制限を始めてから「半年から一年で理想体重」を取り戻すこともできるというが、いずれにせよ、まずはその前提をしっかりと理解した上での実践を心がけてほしい。

■「糖質ゼロ」や「糖質オフ」……。食品表示を正しく理解する

 糖質制限を実践する場合、そもそも何が“糖質”に当てはまるのかも気になるところだ。本書の117ページでは、食品表示法や栄養学の視点からその分類を整理している。例えば、糖質制限でよくイメージされる炭水化物、糖質、糖類は以下のように分けられる。

炭水化物=糖質+食物繊維
糖質=糖類+三糖類以上+糖アルコール+合成甘味料
糖類=単糖類+二糖類

 さらに細かな分類については、本書内の解説にゆだねたい。ただ、例えば炭水化物を例に挙げるならば、必ずしもそれ自体がすべて糖質に当てはまるわけではないということがわかる。補足すると、食物繊維は人間の大腸に住む乳酸菌などの働きを促すためのエネルギー源になるという。

 これらの分類を目安とするのはもちろん、糖質制限を語る上では、ここのところ目立つ食品関係の表示もポイントになる。よく見かける「カロリーゼロ」「カロリーオフ」「糖質ゼロ」「糖質オフ」などの商品も、健康増進法により以下の基準が定められている。

「カロリーゼロ」……エネルギー量が食品100g当たり5kcal未満(一般に飲用の液体では100ml当たり5kcal未満)
「カロリーオフ」……エネルギー量が食品100g当たり40kcal未満(一般に飲用の液体では100ml当たり20kcal未満)
「糖質ゼロ」……糖質量が食品100g当たり0.5g未満(一般に飲用の液体では100ml当たり0.5g未満)

 もう一つの「糖質オフ」は、メーカーごとの自主判断で「誇大な表示とならないよう十分な注意が必要」とした前提での記載が義務付けられている。そのため言葉だけではなく、食品や商品を選ぶ場合には栄養成分表示でしっかりと糖質量を確かめることも重要だ。

 健康や美容など、人の身体にまつわる常識は日々変化する。糖質制限も移り変わる中で目立ち始めたものであるが、医療の観点からその研究や普及に努める著者は「予防医学の切り札」であるという力強く語る。ダイエットにからんだ話が目立つ糖質制限であるが、健康な身体を維持するためにも、正しい理解のもとで無理のないよう実践してほしい。

文=カネコシュウヘイ