極上のエロスの秘密に迫る――超豪華BL漫画家が明かした「ラブシーン」のこだわり

アニメ・マンガ

2017/8/5

『BL漫画家ラブシーンがたり』(一迅社)

 BLにおいて、ラブシーンは一番の見せどころであり、「命」である。ラブシーンのないBLは、戦闘シーンのない『ドラゴンボール』のようなものだ。

 さてそのラブシーンを、漫画家がどんな想いで描いているか、考えたことはあるだろうか? 読者の多くは、キャラクターの心情や性行為には注目しても、その裏に隠された「作者の意図」や「こだわり」にまで気づいている方は少ないはず。

 漫画家にとっても、ラブシーンの「こだわり」は公言するものではないし、むしろ「隠そう」とする部分かもしれない。だが、『BL漫画家ラブシーンがたり』(一迅社)は、「極秘」ともいえる「ラブシーンの描き方」を紹介し、実に豪華な面々7名にインタビューを敢行し、それぞれの「情熱」を話してもらっている。

 作家陣は『昭和元禄落語心中』がアニメ化したことでもおなじみBL界の大家・雲田はるこ先生をはじめ、おげれつたなか先生、彩景でりこ先生、座裏屋蘭丸先生、ねこ田米蔵先生、はらだ先生、わたなべあじあ先生と、ベテランから新進気鋭まで、BL界を牽引している方々ばかりだ。

 雲田はるこ先生の「萌え」は「女性っぽい体の男性や女装の男性に翻弄されるノンケ男性が好き」「(女装だけではなく)対象はなんでもよくて、それによって自分のセクシャリティをグラグラさせられてしまうノンケのキャラクターを描くのが楽しいんです」とのこと。

『Be here to love me』は、脚フェチのノンケ男性が、まさしくセクシャリティをグラグラさせられるお話になっているので、「それが萌えなの分かる……!」という方は雲田先生の作品がハマるのではないだろうか。

 ぶっとんだエロコメディから、胸がえぐられるような愛憎劇を描くことで多くの読者を獲得しているはらだ先生は、ラブシーンでの「モノローグ」についてこんなことを。

モノローグって、いいタイミングで入るとキャラクターの感情がばしっと伝わるので、自分もそんな風に使ってみたいと思うのですが、どうも私は言葉選びが下手みたいで、うまくモノローグを入れられないんです。なので、その分、表情でキャラクターの感情を伝えたい。

 と書いてあったので、早速今年発売された『やたもも』(2、3巻)と『にいちゃん』を読み返してみたけれど、確かにラブシーンでのモノローグはなかった。反対に、ドシリアスな『にいちゃん』ではラブシーン以外で、小説のようなモノローグが多く、作品の雰囲気が効果的に作られているように感じた。

 本書はBLに造詣が深く、すでに好きな漫画家がいる読者にとっては、「こんなことを考えながら、著者はこのラブシーンを描いているのか!」と感動して、より一層作品が面白く感じるだろうし、「BL初心者」の方は、同じ「萌え」を持っている漫画家を探すのに役立つはずだ。

 作品の「裏話」も聞けるので、「作家のファンとまではいかないけれど、このタイトルは好き」という方にも、ぜひ手に取ってほしい。

 25万部を突破している人気作『ヤリチン☆ビッチ部』(おげれつたなか先生)では、「(固定カップリングはなく)総当りでシミュレーションしてあって、私の中では加島くんも受けたことがあります」という発言があり、個人的には一番気になっている(本編で描かれる可能性は低いけれど、私は加島くんの受けルートが読みたいです……)。

 BL漫画家たちの日々の「努力」や「情熱」が、作品の「面白さ」につながり、読者を魅了しているのだということがよく分かる一冊だった。

文=雨野裾